ザ・コンテンダー

Contender,The

Rod Lurie / Gary Oldman,Joan Allen,Jeff Bridges,Christian Slater,Kathryn Morris / 2000

★★★★

最後にかけて弱いが

 監督・脚本のロッド・ルーリーはこれがメジャーのデビューのようだ。副大統領の下院による承認を巡る政治サスペンス。

 これを見ていて、リチャード・ノース・パタースンによる政治小説『Protect and Defend』を思い出した。どちらも民主党バイアスの強くかかったストーリーで、あちらは連邦最高裁主任判事の上院による承認を巡る駆け引きが描かれていた。指名される女性が中道路線であること、共和党の黒幕が個人的なスキャンダルを掘り起こすことなどが共通している。大きく違うのは、こちらでは大統領とその側近が非常にシニカルな政治的動物として描かれていることで、それが大きなアドバンテージであっただけに、映画の終わり方でがっかりさせられるという仕組みになっている。

 本作は、手持ちのカメラが作る面白い映像、精巧なカット割りとシーン作り、そして巧妙な脚本のせいで大傑作になりそうに思ったが、最後の20分ぐらいが徹底的にダメになる。『Protect and Defend』や『アメリカン・プレジデント』など、民主党寄り知識人の語るストーリーは往々にして非常に鬱陶しくなるが、その悪い面が一気に噴出したという感じだ。ここの部分で、それまで複雑な人物のように描かれていた登場人物たちが、一気に薄っぺらな人間に見えてくる。シニカルな大統領を演じていたジェフ・ブリッジズは単なる演説好きのおっさんになり、邪悪で狡猾な黒幕を演じていたゲイリー・オールドマンは『ロスト・イン・スペース』のマッド・サイエンティスト並みになり、下院の若い民主党議員を演じていたクリスチャン・スレイターは単に節操のないお坊ちゃんになり、最悪なことに、主人公の上院議員ジョーン・アレンがトム・クランシーの小説の登場人物のような機械仕掛けの人形になる。

 とは言え、この映画はダメになるまでは非常に質が高い。ジェフ・ブリッジズの醸し出す微妙な不安定さは絶妙。ゲイリー・オールドマンは、何でそこまでやるのか理解できない化け方で、特に承認委員会での存在感が凄い。ジョーン・アレンは本作でアカデミー主演女優賞にノミネートされたが、実際に賞をとった『エリン・ブロコビッチ』のジュリア・ロバーツの10倍は良い。TVインタビューを受ける場面、承認委員会全般など、見事なディレクションに支えられて長く記憶に残りそうなシーンがいくつもある。ファンとして素直に喜びたい。

 なお、FBI捜査官を演じるキャスリン・モリスが、出番が少ないわりに、何か尋常でない撮られ方である。TVを中心に活動している人のようだが、監督の前作"Deterrence"(1999)にも端役で出演している。今後注目。

2002/1/4

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