誘惑の接吻(キス)

Skipped Parts

Tamra Davis / Jennifer Jason Leigh,Bug Hall,Mischa Barton,Drew Barrymore,Brad Renfro,Angela Featherstone / 2000

★★★★

完璧ではないがツボにはまった

 監督のタムラ・デイヴィスは『ガンクレイジー』(1992)や『リスキー・ブライド/狼たちの絆』(1999)などの人。劇場未公開で(アメリカでもビデオ直行だったらしい)、ビデオ・パッケージはドリュー・バリモアが主人公であるかのように作られているが、主人公の妄想シーンに数回出てくるだけ。つまり、売り方に困るインディー映画ということだ。主演のジェニファー・ジェイソン・リーはco-producerとして名を連ねている。この人が製作に関わったのは『ジョージア』(1995)に続いて2回目。

 1960年代の中西部のアメリカを舞台に、思春期を迎えた少年を語り手として、現代的アメリカ(原作が出版されたのは1991年)が誕生する前兆を描いた作品ということなのだと思われる。たぶん1960年代にこんな人たちはいなかったということも含めてファンタジーなのだけれども、非常に前向きなメッセージが込められており、皮肉なことにその前向きの姿勢が失われた2000年のアメリカではマーケット・バリューがないと見なされたわけだ。そのことも含めて「郷愁」を誘う話である(もちろん私は1960年代のアメリカの中西部なんて経験してないのだが)。

 若い無軌道な母親(30歳に達していないという設定には無理があると思った)を演じるジェニファー・ジェイソン・リーは、自分のやりたいことをちゃんとやっていて魅力がある。その息子役のバグ・ホールは、トビー・マガイアのような清潔感を備えた役者に成長しそうだ。ガールフレンド役のミーシャ・バートン(『キャメロット・ガーデンの少女』(1997)、『パップス』(1999)、『シックス・センス』(1999)、『ノッティングヒルの恋人』(1999)、『監禁』(2000))は、これまでのなかで一番良い。その彼女の従姉の役で、アンジェラ・フェザーストーンが豪胆なネエチャンを好演している。『ザ・ハッカー』(1999)と『ウェディング・シンガー』(1998)の都会派美女の役の印象が強かったので、下品な役に説得力を持たせていることに驚いた。

 「オフビート」とまでは行かないコミカルなタイミングのとりかたと、話のすっとばしかたが上手な映画。主演格のバグ・ホールとミーシャ・バートンの好演に加えて、その無思慮と呼んでもいいほどのオプティミズムが心地よく、とにかく気に入った。

2002/2/21

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