姉のいた夏、いない夏

Invisible Circus,The

Adam Brooks / Cameron Diaz,Jordana Brewster,Christopher Eccleston,Camilla Belle / 2001

★★

面白くない

 監督のアダム・ブルックスは『プラクティカル・マジック』(1998)や『フレンチ・キス』(1995)の脚本に関わっている人。監督作品も少しある。ジェニファー・イーガンの同題の原作(訳本は『インヴィシブル・サーカス』)の映画化。

 歳の離れた姉がヨーロッパ旅行中に自殺した経緯を、一人で海外旅行ができる歳になった妹が探りにいく。1970年代から1960年代を振り返るというテーマで、日本に移し替えれば、70年安保世代の姉の生と死を新人類の妹が白けた視線で見つめるという話。脚本上、この新人類の妹は同時代人にまで連続した存在なので、舞台が1970年代に設定されていることの必然性は、ストーリー上のいくつかの仕掛けを除いてはないといっていいだろう。その仕掛けは、基本的には姉と妹の年齢差(親子ほどではないが、そこそこ離れている)に関わるものである。

 姉はキャメロン・ディアス、妹がジョーダナ・ブリュースター(『パラサイト』)、姉の恋人がクリストファー・エクルストン、妹の幼い頃がカミーラ・ベル(『沈黙の陰謀』(1998)、『プラクティカル・マジック』(1998)、『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』(1997))。しばらく見ないうちにハイティーン一歩手前になっていた。

 29歳のキャメロン・ディアスが18歳を演じ、21歳のジョーダナ・ブリュースターが18歳を演じ、15歳のカミーラ・ベルが10歳を演じる(いずれも映画公開時の年齢)。キャメロン・ディアスの若作りはちょっと無茶だと思うが、幼い頃の妹が姉を大きな存在として見ていたことの反映と考えることも不可能ではない。しかし、妹の目に姉が等身大に写るようになる結末が、この仕掛けによって説得力をなくしていたように思う。これに関連して、非常に巧妙な仕掛けだと思ったのが、ジョン・セイルズの『真実の囁き』だった。この映画では、クリス・クーパー演じる主人公の保安官が、町の伝説となっている父親の過去を探るのだが、その父親はマシュー・マコノヒーによって演じられている。つまり映画の中で、親子の年齢が逆転しているのである。

 本作では、原作の段階ではそれほど問題にならなかったであろう姉と妹の年齢差が、実際に役者によって演じられる段階で大きな問題となっている。キャメロン・ディアスは、映画の冒頭では大人びて見えなくてはならないが、最後には妹のジョーダナ・ブリュースターと同じか、それよりも若く見えなくてはならない。また、ジョーダナ・ブリュースターは姉の足跡を追うプロセスで成長していかなくてはならない。ところがこの映画では、この2つの変化を説得力のある映像として見せるという配慮をまったく行っていないように思える。

 話の内容は、どんでん返しを期待していたら何もなかったという感じのもの。妹が姉と姉の恋人を「バカ」と認定するぐらいに腰が据わっていたら、まだマシだったかもしれない。映像はきれいだが、それがかえってアメリカ人向け郷愁映画、ヨーロッパ観光映画というチープな雰囲気を作っている。

2002/3/17

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