クレイドル・ウィル・ロック

Cradle Will Rock

Tim Robbins / Hank Azaria,Ruben Blades,Joan Cusack,John Cusack,Cary Elwes,Philip Baker Hall,Cherry Jones,Angus MacFadyen,Bill Burray,Vanessa Redgrave,Susan Sarandon,Jamey Sheridan,John Turturro,Emily Watson / 1999

★★★

感動せよというのは無理でしょう

 ティム・ロビンスの製作・監督・脚本作品。1936年のニューヨークを舞台に、The Federal Theatre Projectに関わったリベラルな演劇人たちの活動を描く、実話をベースにした物語。

 豪華な役者による名演技とジャン=イヴ・エスコフィエのきれいな撮影が楽しめる、本格的な娯楽作品。非常によくできている映画で存分に楽しめた。ただね。その中核となるメッセージが、最近では『ミッション・トゥ・マーズ』『オースティン・パワーズ・デラックス』『ナッシン・トゥ・ルーズ』などに役者として出演していた人から発せられたものだと思うと、クライマックスのシーンに感動するのはやっぱり難しい。役者と作家としての活動が違うこと、作家と作品は違うことはわかっていても、やはり乖離には限度がある。本作の豪華なセットが頽廃に見えてくるし、映画の教訓は「労働者の演劇は死んだ」にしか思えなくなってくる。これなら、同じリベラルのウォーレン・ビーティの『レッズ』(1981)の方が、自己言及性が薄い分だけマシだ。

 この「クレイドル・ウィル・ロック」という演劇は非常につまらなさそうで、劇場の制約なしに当初のプラン通りに演じられていたら、映画のクライマックスに持ってくるのは不可能なほど退屈だったと思わせる。演劇人が圧迫を撥ね返して立ち上がり、危機に瀕した舞台を救ったというストーリーに説得力を持たせるために最後の数十分を盛り上げたのがバックファイアしているのである。これはパフォーミング・アートを扱う映画でつねに生じる問題だが、本作にはそのアートの出来栄えだけでなく政治的主張の要素も入っているのでいっそう事態は困難になった。インテリの中上流階級の描写ばかりしておいて、最後になっていきなり労働者は団結せよと言われても困るのである。

 とは言え、役者たちは素晴らしい。作者の年増好みを反映して、ヴァネッサ・レッドグレーヴとスーザン・サランドンが非常に美しく、特にいまになって「おきゃんなヴァネッサ・レッドグレーヴ」を見られたのはうれしかった。その他、ジョン・キューザック、ジョーン・キューザック、ハンク・アザリア、ジョン・タートゥーロ、フィリップ・ベイカー・ホールなどが渋い。

 オーソン・ウェルズ、ジョン・ハウスマン、ディエゴ・リヴェラ、ネルソン・ロックフェラーなどの有名人が演劇的に、またコミカルに描かれるのに対し、「無名」な人々がシリアスに、つまり映画的に描かれるという仕掛けも興味深い。

2002/3/29

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