ウーマン・ラブ・ウーマン

If These Walls Could Talk 2

Jane Anderson,Martha Coolidge,Anne Heche / Vanessa Redgrave,Paul Giamatti,Elizabeth Perkins,Chloe Sevigny,Michelle Williams,Natasha Lyonne,Sharon Stone,Ellen DeGeneres / 2000

★★★★

クオリティ高いオムニバス

 HBOのTVムービー。フェミニスト映画の『スリーウイメン/この壁が話せたら』"If These Walls Could Talk"(1996)の続編だが、前作が中絶問題を扱っていたのに対し、こちらは(女性の)同性愛を扱っている。邦題は『ウーマン・ラブ・ウーマン』で、日本での英語タイトルは"Woman Loves Woman"。バカには限りがない、としか言いようがない。

 前作のスタイルを踏襲して、1つの家の3つの時代の住人のエピソードをオムニバス形式で描く。原題の"If These Walls Could Talk"は、意訳すれば「家は見ていた」ということだろう。主題のせいでかなり重苦しかった前作と比べると、全体的なトーンは非常に明るくポジティブである。

 1961年のエピソードはジェイン・アンダーソン監督。この人は『キルトに綴る愛』の脚本家で、マイケル・リッチー監督の『テキサス・ママの殺人指令/ウチの子がNo.1』と『しゃべりすぎた女』の2つの邦題を持つ"The Positively True Adventures of the Alleged Texas Cheerleader Murdering Mom"(1993)の脚本でデビューした人。老齢のヴァネッサ・レッドグレーヴが、同居していたパートナーが死んだときに、それまで一緒に住んでいた家から追い出される。同性愛者のパートナーが「夫婦」と同じ法的地位を持てないことの悲劇を描く、いささか政治的主張が先走りしている脚本だが、ヴァネッサ・レッドグレーヴの迫力のせいで最後まで気を抜けない。追い出す側に立つポール・ジアマッティとエリザベス・パーキンズの夫婦もきわめて強力。このエピソードは時間が短いことがプラスに働いたと思われる。これが長尺だったら、『キルトに綴る愛』のような鬱陶しいものになっていた可能性は高い。

 1972年のエピソードはマーサ・クーリッジ監督。『ボーイズ・ドント・クライ』で性同一性障害の女性に恋をする女を演じていたクロエ・セヴィニーが、こちらではトランスヴェスタイトのレズビアンを演じている。いままで見た彼女の出演作の中で一番のはまり役だった。恋仲になるミシェル・ウィリアムズは『名犬ラッシー』のときから体がすいぶんと成長した。その友人としてナターシャ・リオンが出ており、『Go! Go! チアーズ』と同じくレズビアン役。1970年代のフェミニスト運動の中での、フェミニストがレズビアンを排除し、レズビアンがトランスヴェスタイトを不自然であるとして排除するという権力関係を描く。

 このエピソードは完成度が高い。オムニバスの1編として適している脚本を、変に凝ることなく淡々と映像化している。クロエ・セヴィニーとミシェル・ウィリアムズは非常に魅力的で、私がレズビアンだったらたしかに惹かれそうだ(といっても私は女ですらないのだが)。

 2000年のエピソードはアン・ヘッシュ監督。監督第一作ということになる。実生活上の恋人の(ただし本作の撮影後すぐに別れた)エレン・デジェネレス(エグゼクティブ・プロデューサーでもある)とシャロン・ストーンのペアが子供を持ちたいと願い、後者が人工授精を試みるというストーリーのロマンティック・コメディ。大したことはないと言えばそうなのだが、監督が自分の恋人を演出した映画に特徴的な強烈なエネルギーに満ちている。特にこの映画でのエレン・デジェネレスのあり方は「啓発的」と言うしかない。シャロン・ストーンはちょっとテクニック先行で、『ハリウッド・ミューズ』と同じ「無理してコメディやってます」という感じ。ただしチャーミングであり、アン・ヘッシュは自分の存在をこのように位置付けているのかもしれないと想像すると少し怖くなる。

 最初のエピソードは古典的枠組みの中にあるとしても、後の2つには、告発型のフェミニスト/レズビアン映画の枠を超えて、一般的なオーディエンスとレズビアンのオーディエンスの両方に良質なエンタテインメントを提供しようという明確な意志が見られる。もちろん、この3つがこのように配列されていること自体にその意志が込められていることは間違いない。「運動」という観点からはきわめて正しいアプローチだろう。

2002/4/21

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