デッドロック

Race Against Time

Geoff Murphy / Cas Anvar,Eric Roberts,Cary Elwes,Sarah Wynter,Diane Venora / 2000

安っぽい

 TVムービー。監督のジョフ・マーフィは、『フリージャック』(1992)や『沈黙シリーズ第3弾/暴走特急』(1995)などの人。本作は近未来SFである。

 話の設定がドイツのTVムービー『デスゲーム』に非常によく似ている。どちらも公開年度は2000年で、脚本にはそれぞれ別の人々がクレジットされているのだが、偶然でここまで似るとはちょっと考えにくい。とはいえ、「これは恐ろしい偶然だ」と言い張るほどオリジナルで新奇なストーリーでもないので話はややこしいのである。以下、括弧内は『デスゲーム』の設定を指している。

 近未来のアメリカ(ドイツ)で、Lifecorp(Medicorp)という巨大な医療企業が、2年後(1年後)に自らの臓器を含む身体全体を提供するのと引き換えに巨額の現金を支給するというビジネスをやっている。主人公のエリック・ロバーツ(ティム・ベアクマン)は、息子の治療費を払うために(賭博の借金を返すために)その契約を結ぶが、息子が死んだので(一か八かの賭けに勝ったので)金を返そうとする。企業は返金を受け付けないばかりか、即座に契約の履行を要求してきたので、主人公は逃走する。脊髄に発信器が埋め込まれているので、不法な手段を使って摘出する。摘出を手伝った医者は殺される。どちらかと言ったら悪の側に立っている女サラ・ウィンター(マリエ・ツィールケ)が主人公の逃走を助ける。クライマックスは、悪の拠点である高層ビルの最上階近くで展開する。そこへつながるエレベーターが小道具として使われ、主人公が乗っているエレベータのドアが開くのを悪人の手下たちが銃を構えて待っているというシーンがある。本当の悪者の下に、ダーティーな仕事を手がけるケイリー・エルウィズ(マンフレット・レーマン)がいて、最後は殺される。

 そして私は『デスゲーム』を本当に粗雑だと思ったのだが、本作はそれ以上にどうしようもない映画だった。こちらのバカなアメリカ映画的テイストと比べると、『デスゲーム』の諸々の設定が高級に見えてくるぐらいだ。サラ・ウィンターは『シックス・デイ』の悪い女を演じていた人で、似た役柄であるものの、『シックス・デイ』のような迫力はない。ケイリー・エルウィズは『クレイドル・ウィル・ロック』の過剰な演技が名演に思えてくるような演技。Lifecorpの良心を演じるダイアン・ヴェノーラは、『インサイダー』のラッセル・クロウの妻、『13ウォーリアーズ』の女首長、『ジャッカル』のロシア人、『トゥルー・クライム』のクリント・イーストウッドの妻と、このところ好調だったのだが、本作では見るべきところなし。

 なお、低予算で未来都市を撮る秀逸なアイデアが使われている。普通の都市のビルディングの壁に、わざと解像度を低くした広告映像を投影するのである(もちろんCG合成だが)。

2002/4/21

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