ファイナル・ファンタジー

Final Fantasy: The Spirits Within

坂口博信 / Ming-Na,Alec Baldwin,James Woods,Steve Buscemi,Ving Rhames,Donald Sutherland / 2001

★★★

勇気ある挑戦

 監督の坂口博信は、同タイトルのコンソールRPGのプロデューサー。ゲームの発売元であるスクウェアは、100億円以上をかけて製作した本作が惨憺たる興行成績だったために、この1作で映画ビジネスから撤退した。

 私は本作に関しては相当ネガティブな噂ばかり聞いていたので、予想以上に良くできていると思った。リアリズム指向のフルCGIアニメーション作品を作るという野心的な試みにチャレンジしたことを高く評価するべきだ。考えてみればわれわれは、1930年代に作られた『白雪姫』(1937年)をそれほど違和感なく見ることができるが、1950年代のたとえば『地球の静止する日』(1951)や『禁断の惑星』(1956)は大笑いしながら見る。怖いから再見していないが、1980年代の『トロン』(1982)もいまとなっては似たようなものだろう。本作は、おそらく10年も経てば『トロン』と同じていどに奇妙に見えるようになると思われる。

 ほぼ同時期に公開されたドリームワークスの『シュレック』と比べれば、本作のリアリズム指向がいかにチャレンジングな企てであるかがよくわかるというものだ。ただし、スクウェアという会社は、これがチャレンジングなことであるということを十分に認識していなかった可能性が高い。ゲームの『ファイナルファンタジー』シリーズを巡る思いについては、読書メモの『戦後民主主義のリハビリテーション』の項に少し書いている。

 本作は、脚本と声優とモーション・キャプチャの俳優に非日本人を持ってきたおかげで、日本製サブカルチャーの臭みがずいぶんと薄れている。主人公を演じるミン・ナの発声が、日本製のアニメを意識したディレクションがなされているように思えるにしても、全体として見れば国際的なマーケットで勝負できるほどにアメリカ映画的である。テーマやシナリオは痛々しいほど幼稚だけれども、この映画メモではこれよりも悪いものを山ほど取り上げているので、特に文句をつける気にもならない。ゲームの『ファイナルファンタジー』に比べるとずっとマシ。

 100億円もかけた「日本映画」であるということを考えると、たしかに空しい気持ちにはなる。これは「遅れてきたバブル」以外のなにものでもない。でも、こうやって物が残っただけマシと言えなくもない。

2002/4/30

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