ぼくの国、パパの国

East Is East

Damien O'Donnell / Om Puri,Linda Bassett,Jordan Routledge,Archie Panjabi,Emil Marwa,Chris Bisson / 1999

★★★★

面白いけどレイシスト

 監督のダミアン・オドネルはこれが2作目。アユブ=ハーン・ディン原作の戯曲の映画化。

 1971年の英国のマンチェスターを舞台にした、パキスタン人移民の家族ドラマ。下ネタをうまく消化した、技術的にはかなり高い水準にあるコメディ。ただしきわめて人種差別的な内容で、IMDBのユーザー・コメントを見ると、本国のパキスタン人は一様に怒っている。日本人に置き換えれば、『ライジング・サン』よりはマシだが、『ヒマラヤ杉に降る雪』よりも困惑するという感じなんではないかと推測した。

 1930年代に英国に移り住んだ父親(オム・プリ)と、その第2妻の白人の母親(リンダ・バセット)、そして7人の子供たちから構成される家族内の文化摩擦を描く。父親はパキスタン人/ムスリムのコミュニティとのつながりを持ちたいと望んでいるが、子供たちは英国で生まれた二世なので、両者の価値観がぶつかり合うという頑固親父もの。この9人に加えて、5〜6人ほどの重要な登場人物が出てきて、そのいずれもがキャラとして立っているのが凄い。監督のダミアン・オドネルは今後注目である。

 DVDに収録されているカットされた映像を見ると、パキスタン人が英国で生きることの厳しさを描いたシーンが大量にカットされていることがわかる。これが全部本編に入っていたら、そうとう「社会派」的な映画になったはずだ。結果として、これらをカットしたおかげでかえって深みが出ていたように思う。

 ちなみに監督はアイルランド人、インド人に対する敵意を剥き出しにするオム・プリ本人はインド人、敬虔なイスラム教徒になろうと努力している四男のエミル・マルヴァはユダヤ人。唯一の娘を演じるアーチー・パンジャビは、高度成長期の日本映画に出てくる女の子のような活発さで好ましかった。息子たちは全般にハンサムで、オム・プリとリンダ・バセットの間に生まれた子に見えない、ということが、意図せずしてレイシスト的なメッセージを強める効果を持っている。これに、彼らが「パキ」と呼んでいる純血パキスタン人の娘たちが不美人であるということを組み合わせると、「アングロ=サクソンの血と文化は高等である」というかな〜り恐ろしい話になるのである。

2002/4/30

IMDBの該当ページへ

検索ページへ 目次へ 前へ 次へ