ロード・オブ・ザ・リング

The Lord of the Rings: The Fellowship of the Ring

Peter Jackson / Elijah Wood,Ian McKellen,Viggo Mortensen,Sean Astin,Liv Tyler,Cate Blanchett,John Rhys-Davies,Orlando Bloom,Ian Holm / 2001

★★★

名場面集のような

 ピーター・ジャクソン監督作品(『コリン・マッケンジー』)。『さまよう魂たち』(1996)以来のアメリカ映画ということになる。原作のトールキンの『指輪物語』は、かつてラルフ・バクシが『指輪物語』(1978)としてアニメーション化している。本作は3部作を一挙に撮影して、3年かけて公開する予定。

 10時間ぐらいの大作映画の、映像がきれいで話が盛り上がる名場面をつなぎ合わて作った総集編という感じだ。しかし本作はIMDBのユーザー・レーティングでトップを取りそうな勢いであり、広く観客に受け入れられているものと思われる。『エンパイア・レコード』の項に書いたような、アテンション・スパンの短さに適応している観客が大量に発生しているということだろう。10分ぐらいのシーンの中で、「導入、展開、盛り上がり、感動のラスト」というサイクルが完結しても、最後の「感動のラスト」の部分できっちりと感動できて、それが3時間繰り返されても大丈夫という人々である。

 ビジュアルなイメージは素晴らしい(撮影監督のアンドリュー・レスニーの前作は『ベイブ/都会へ行く』だ)。『指輪物語』の世界に限らず、ファンタジー一般の映像表現で間違いなく最先端を行っている。ピータ・ジャクソンの『さまよう魂たち』には、いままで私が映画の中で見た死神のなかで最も怖い死神が出てくるのだけれども、本作は多くの分野で新たなスタンダードを設定した。最もホビットらしいホビット、最もドゥウォーフらしいドゥウォーフ、最もエルフらしいエルフ、最もウィザードらしいウィザード。一方、この映画を見てわかったことといえば、オークがやはり有色人種のメタファーであること、ウィザード同士の戦いが活劇になりうること、ホビットが本当に愛らしいこと(これはバクシの『指輪物語』ではわからなかったことだ)。あと、トロールとの戦いの場面で、アーチャーの行う「クリティカル・ヒット」の意味が非常によくわかった。

 今後のこのタイプのファンタジー映画の映像表現が、本作を基準に測られることは避けられない。それ以上に重要だと思うのは、このタイプのファンタジーの世界をベースにしたマルチプレイヤー・オンライン・ゲームである。プレイヤーは画面に表示される世界にこれほどのリアリティがなくても、本作の映像をリファレンスとして使用して必要ならば補完する。そしていつの日か、ゲームのプレイヤーたちは、これとそっくりのグラフィックス環境の中でロール・プレイングをやることになる。そのとき、キャラクターの選択可能な顔の中には、必ずや本作のイライジャ・ウッドやリヴ・タイラーそっくりのものが含まれているだろう。

 思春期を迎えて作品に恵まれていなかったイライジャ・ウッドは、本作では少年期に逆戻りしたような役で何とも言えない色気を発散している。イアン・マッケランが善人の役を演じるのは久しぶりなのではなかろうか。

2002/5/14

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