キス・オブ・ザ・ドラゴン

Kiss of the Dragon

Chris Nahon / Jet Li,Bridget Fonda,Tcheky Karyo / 2001

★★★

複雑な気持ち

 監督のクリス・ナオンはCM出身らしい。ジェット・リー原案のストーリーを、リュック・ベッソンが製作したアクション映画。コリー・ユンがアクション監督をしている。タイトルの「キス・オブ・ザ・ドラゴン」は、鍼使いのジェット・リーがクライマックスで刺す首筋の秘孔のことを指している。

 ジェット・リー演じる中国の捜査官が、麻薬のコネクションを捜査するためにパリにやってきたが、フランス側のチェッキー・カリョ演じる警官にだまされて、悪者リック・ヤング(素晴らしい熱演!!)の殺人容疑を着せられてしまう。その場にいた、チェッキー・カリョに娘を押さえられて奴隷状態になっている娼婦ブリジット・フォンダは、ジェット・リーが潜伏しているエビせんべい屋の前で立ちんぼをしており、しかも両者は互いの正体に気づかない。この時点で、「この映画にはストーリーのもっともらしさという概念はありません」という宣言が行われたと私は理解した。こういう風にはっきりと示してもらうと安心できる。

 複雑な気持ちだ。本作は、ジェット・リーが自ら製作に絡んだ初の西洋映画であり、『リーサ・ルウェポン4』や『ロミオ・マスト・ダイ』と比べると明らかな前進なんだが、アクションが細切れで面白くない。ワイヤー・アクションを控えめにしているという点はポイントが高いし、うまく配置された数々のアクション・シーンにはバラエティが持たせられているにしても、それを撮って編集する技術がないんである。クライマックスで、なぜか空手の道場に迷い込んでしまうという開けた場での1対多の戦いと、上階の狭い場所での戦いなどは、うまくコントラストを作ればそうとう面白くなったはずだ。アクションの撮り方と編集の仕方だけを見れば、やはり『ヒットマン』(1998)や『ブラックマスク』(1996)などの香港勢に一日の長があると言える。西洋人のスタントマンの力量に問題があるのなら、チェッキー・カリョの部下に強い中国人を配しておいてもよかったはずなのに。

 ブリジット・フォンダが素晴らしい。このところ『モンキーボーン』『U.M.A.レイク・プラシッド』と、奇怪ながらも愛おしい役に特化しているようだ。

2002/5/21

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