クレイジー/ビューティフル

Crazy/Beautiful

John Stockwell / Kirsten Dunst,Jay Hernandez,Bruce Davison,Taryn Manning / 2001

★★★★

美しい青春映画

 監督のジョン・ストックウェルは役者だが、ときどき脚本や監督をしている。この映画メモで取り上げているものの中では、『ブレストマン/豊胸外科医』の脚本を担当している(出演も)。

 ロサンゼルスの同じ高校に通っている、カースティン・ダンスト演じる金持ちの政治家の娘と、ジェイ・ヘルナンデス演じるヒスパニック貧民層の青年の間のロマンス。『愛さずにはいられない』のような異人種間ロマンスもので、性別が逆転しているものの、ヒスパニックの方が真面目で信心深く、大家族出身で、スポイルされていないという点は同じ。

 私はこのところのカースティン・ダンスト(それともキルステン・ダンストなのか? カーク・ダグラスはキルク・ダグラスか?)に少々不安を感じていたのだが、本作の彼女は鬼気迫る名演と断言する。この映画の彼女は、金持ちの家に育ってスポイルされた、家族関係の悩みのおかげでアルコール中毒などの問題を抱えている女子高生を演じている。そして、そのリアリティが凄いのだ。なんといいますか、この映画の彼女は「ティーン・アイドル」にはちょっと許されないようなブス顔を平然とさらしており、楽しく遊んでいる場面にも、つねに崖っぷち一歩手前にいることを予感させる危うさがある。その痩せ方と顔のむくみが非常に不健全に見える。

 『17歳のカルテ』のウィノナ・ライダーにはなかった覚悟のしかたと言っていいだろう。むしろ、あの映画にも出ていたクレア・デュヴァルのような覚悟がある。

 その相手となるのは、健全を絵に描いたような、TV出身のジェイ・ヘルナンデス。ヒスパニックの貧民層出身の彼は、家族の期待を背負って3時間かけて「ちゃんとした」高校に通い、海軍士官学校への進学を夢に勉強に励み、高校のフットボール選手としても活躍しているという非の打ちどころのない青年。その甘いマスクと落ち着いた物腰で、男性版可愛こちゃんとしての役目をしっかりと果たしており、「私はこんな完璧な人の人生を邪魔していいのかしら」というカースティン・ダンストの抱く苦悩を、観客もちゃんと共有できる。

 いちおう★4つをつけるが、しばらくしてから見直して、なお良ければ、★5つのアップグレードする予定。

 なお、カースティン・ダンストの友人を演じるタリン・マニングはTV出身の人のようだが、バカな女子高生を演じて非常に良い。今後要注目。

2002/5/21

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