ディアボリーク 悪魔の刻印

Grosse Bagarozy, Der

Bernd Eichinger / Til Schweiger,Corinna Harfouch / 1999

★★★

凝り切れていない失敗作

 ドイツ映画。監督のベアント・アイヒンガーはプロデューサーとして有名な人で、最初に関わった作品はヴィム・ヴェンダースの『まわり道』"Falsche Bewegung"(1974)。その他にも、『クリスチーネ・F」(1981)、『ネバーエンディング・ストーリー』(1984)、『薔薇の名前』(1986)などの有名な作品があり、最近では『裸の銃を持つ逃亡者』(1998)なども(一瞬自分の目を疑ったが、たしかにこの人だ)。

 本作はヘルムート・クラウサー(Helmut Krausser)という小説家の同タイトルの小説(未読)を映画化したもの。ヨーロッパで流行りの「思索的メタロマーン」あるいは「こけおどし小説」らしく、映画もそういう高尚で知的な雰囲気を出そうと頑張っている。んだが、ちと空回りしている感は拭えない。ティル・シュヴァイガーの主演作でなければ、輸入されてビデオが発売されることもなかっただろう。

 コリンナ・ハーフォーフ演じる精神分析医のところに、ティル・シュヴァイガーが患者としてやってきて、自分が悪魔であることを告げる。これに、マリア・カラスの話を絡めた、いかにも「思索的」らしいストーリー。ずいぶんと凝った映像なのだが、え〜、黒いプードルが悪魔で、白いプードルが神というメタファーが使われていて、実際に出てくるプードルがいかにも「ぬいぐるみ」なんで失笑が洩れた。凝った雰囲気を持続させるのはなかなか難しいと思ったことだった。

 ティル・シュヴァイガーは勿体ぶった演技をうまくこなしているが、注目すべきなのはコリンナ・ハーフォーフ。この人は『ふたりのロッテ』で冷たいお母さんを演じていた人で、本作の撮影前後に監督のベアント・アイヒンガーとお付き合いを始めている。『ふたりのロッテ』の役からは想像もできないことだが、「色っぽい中年女」を演じることに見事に成功している。

 原題の"Der Grosse Bagarozy"は、「偉大なるバガロージ」で、劇中に出てくる奇術師(ティル・シュヴァイガーが演じている)の芸名なのだが、現実にマリア・カラスとの関わりがあったアメリカ人のエージェントEddie Bagarozyに由来する。この実在のエージェントは、ティル・シュヴァイガーが演じている「悪魔」の化身だったという設定になっているのだと思う。

2002/5/21

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