アメリカン・ナイトメア

American Nightmare, The

Adam Simon / John Carpenter,Wes Craven,David Cronenberg,Tobe Hooper,John Landis,George A. Romero,Tom Savini / 2000

★★★

言わぬが花

 監督・脚本のアダム・サイモンはB級映画を撮っている人で、本作はドキュメンタリー。1960年代末から1970年代にかけて活躍したアメリカのホラー映画作家たちへのインタビューと、彼らが作った映画のクリップから構成されている(数人の映画評論家たちのしゃべりもある)。

 このあたりの映画は私もよく見たので、いろいろと懐かしかったのだが、だいたいにおいて「それは言わぬが花なんじゃないの」と思った。映画に限らず、作者が自分の作品の「意図」についてあれこれと喋っている姿を、私はあまり見たくない。その点で、映画作家というよりは単なる同時代の映画ファンとして登場するジョン・ランディスと、ベトナム戦争での体験と自らの仕事のあまりにストレートなつながりを淡々と語るトム・サヴィーニには感動した。

 ちなみに言わぬが花の部分は、1960年代末のアメリカを覆っていた全体的な不安、既存の秩序に対するベビーブーマーの反乱、1970年代後半に入ってからの社会の安定とか、まあそういったことである。簡単な年表を作ってみた。

 ジョン・カーペンターの『ハロウィン』(1978)は、ゲーム感覚のスラッシャー・ムービーというジャンルを確立し、『13日の金曜日』(1980)を含むたくさんのフォロワーを生み出した。これと同じ年に、監督自らが本作で「ショッピング・モールに集まるゾンビはアメリカの消費者のメタファー」なんて言っちゃっている『ゾンビ』が作られていることは興味深い。なお私の感覚では、1984年の『エルム街の悪夢』あたりで、すでにスラッシャー・ムービーはジャンルとしての生のパワーを失っており、同じ年にジョン・カーペンターは『スターマン』という愛と感動の物語を作っていた。『ヴィデオドローム』は、現在まで続くクローネンバーグの「おしゃれアート路線」への転向第1作であると思っている。

 なお、怒れる若者たちの映画製作活動の絶頂期に、キャメロン・クロウは『あの頃ペニー・レインと』に描かれていたような楽しいことをしており、1982年には彼の原作・脚本の『初体験/リッチモンド・ハイ』が作られたというわけだ。そんなことをいろいろと考えていると、ちょっと悲しくなってきた。

2002/5/26

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