サベイランス 監視

Antitrust

Peter Howitt / Ryan Phillippe,Rachael Leigh Cook,Claire Forlani,Tim Robbins / 2001

★★★★

ところどころにリアリティのあるコンピュータ業界もの

 監督のピーター・ハウイットは『スライディング・ドア』の人で、これが2作目にあたる。

 コンピュータ業界を舞台にしたスリラー。私の知る限り初めての、「独占企業とオープン・ソース運動の対立」を題材とした映画である。スタンフォード大学の天才プログラマであるところのライアン・フィリップは、友人たちと卒業後にスタートアップ企業を始めようとしていたが、ビル・ゲイツに良く似た(しかしスピーチははるかに上手な)ティム・ロビンス演じる巨大企業N.U.R.V.の社長に説得されて、その企業が近いうちにローンチしようとしているSYNAPSEというシステムの開発部門に入る。そのときに、アジア系のYee Jee Tso演じる友人から、「俺たちはあれほどオープン・ソース運動に共鳴していたじゃないか。お前はそれを裏切って、他人の書いたコードを盗んで、品質の劣った製品に仕上げて販売する、あの独占企業に入るのか!」と怒られるのである。残念ながら、「オープン・ソース」の話はそこから変な方向に向かうのだが。

 そして実は、ティム・ロビンスは文字通り監視カメラを使って他人のコードを盗んでいたのである。この人々は、ファイヤウォールを越えてのシステム侵入を試みるというような泥臭いことはせず、プログラマの背後からディスプレイの画面を盗撮し、画面に写っているソース・コードを解析して、手元に保存している旧バージョンとの差分を自動的に取るソース管理システムを使っているのだ。いい話である。

 脚本は『パブリック・アイ』(1992)や『小さな贈りもの』(1996)などの監督作もあるハワード・フランクリンで、脚本家としては『薔薇の名前』(1986)、『誰かに見られてる』(1987)、『知らなすぎた男』(1998)などの「ちょっと捻った」感じのものを書いている。

 ライアン・フィリップは『ザ・ハッカー』のスキート・ウーリッチよりもプログラマっぽい。その恋人にクレア・フォラーニ。開発部の同僚にレイチェル・リー・クック。全体的なストーリーの流れは、クライマックスを含めて随所で破綻するのだが、細かいところでのテンションの作り方がうまく、それには役者たちの演技が大きく貢献している。この点では、『スライディング・ドア』と似た印象だ。クレア・フォラーニはいままで見たなかで一番良いかも。若手3人のなかでは一番大物で、レイチェル・リー・クックとの火花を散らすような視線の戦いに迫力があった。主人公のライアン・フィリップの行動の描写はよく考えられている。つまり、凄腕のプログラマという性格付けを納得させるようなクレバーな行動を起こすのである。

 クライマックスで登場人物たち全員がバカげたことをするという欠点があるが、愛すべき映画だった。ピーター・ハウイットは要注目。

2002/6/2

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