暴動刑務所

Warden, The

Stephen Gyllenhaal / Ally Sheedy,Lindsay Crouse,Sam Robards,Robert Gossett,Ron Rifkin,Gillian Ferrabee / 2001

★★★★★

とりあえず支持

 アメリカのTVムービー(TNT)。監督のスティーヴン・ギレンハールはTVが多く、『代理人』(1995)、『欲望』(1993)などの劇場用映画の佳作もある。リンダ・ラ・プラントが製作・原案に関わっている。この人はTVシリーズの『第一容疑者』の脚本で有名で、小説家としても有能。読書メモでは『顔のない少女』と、『温かな夜』を取り上げているが、私は邦訳があるものは全部読んでいて大ファンである。

 アメリカの刑務所業界で働くキャリア指向のアリ・シーディが、火事、自殺、暴動という怪しい事件が起こった刑務所に臨時の所長として赴任し、捜査を行う。『第一容疑者』と同じく、野心的な女性が性差別の強烈なプレッシャーの中で苦闘するという話だ。精神的にぎりぎりのところに追いつめられた女を恐ろしいほどのリアリティで演じるアリ・シーディを、揺らぎの多い手持ちカメラで追う。

 80年代の青春スターの1人だったアリ・シーディは、90年代に入って相当低迷していたが、1998年の『ハイ・アート』(未見)で新たな境地を開いたようで(LA批評家協会賞を1998年に受賞している)、本作ではその勢いに乗っていたのかもしれない。リンダ・ラ・プラントの物語の主人公としてぴったりのイメージだった。彼女が勤めていた女性刑務所の所長のリンジー・クラウズ、女性看守のジリアン・フェラビーと合わせて、硬質な感じがたまらない。

 少々舌足らずなところがあって、あと30分ぐらいあればもっとよくなったかもしれない。しかし、いろいろな面で「寸止め」をして、次々に前進するこのスピード感が、作品全体の感触を決めていることもたしかだ。普通の映画だったら、たっぷりと時間をかけて大げさな音楽を背景で流すであろうような場面が、さっさと終わっていくのは実に気持ちよい。これはまさにリンダ・ラ・プラントの作品である。

2002/6/2

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