アクシデンタル・スパイ

特務迷城(Accidental Spy, The)

Teddy Chen / Jackie Chan,Eric Tsang,Vivian Hsu,Hsing-kuo Wu / 2001

★★★★

普通のジャッキー・チェン映画だが

 監督のテディ・チェンは『ブラックマスク』の脚本の人。本作は、ジャッキー・チェンが製作・主演し、他人に監督を任せた香港映画。

 最近見たジャッキー・チェン主演映画の中では、本作が一番気に入った。『シャンハイ・ヌーン』『ラッシュアワー』のような「筋を曲げている」という感じがなく、『ゴージャス』とは違って一人で主役を張っており、『WHO AM I?』とは違って受けをとろうとして失敗している場面がない。夾雑物を一切排して、単に自分がやりたいアクション・シークエンスを盛り込んでいるという感じがある。

 どちらが先に作られたのかわからないが、同年の『ラッシュ・アワー2』と同じアイデアのアクションがいくつかあり、いずれもこちらの方がよくできている。サウナと裸ネタとか、手首を縛られて上から吊されている状態からの脱出など。

 韓国人の女性記者にキム・ミンジョン、トルコで出会う女性にビビアン・スー。特に後者は気の毒な扱いなんだが、『キス・オブ・ザ・ドラゴン』と同様に、どこの国を舞台にしても現地中国人が出てくる映画を作れるという中国人のアドバンテージを強く感じた。トルコにああいう中国人がいたとしてもぜんぜんおかしくないと思えてしまうわけで。

 なお、本作でちょっと感動してしまったのは、ジャッキー・チェンがインスタンブールの銀行で、韓国人のフリをしてハングルでサインをするところ。たぶん書き文字としては下手なんだけど、ジャッキー・チェンが実は韓国人の国際的なスパイの息子だった(かもしれない)という設定とともに、韓国人にとってはとても嬉しいシーンだったに違いない。どこの国の人間にも英語を喋らせて国際的なマーケットを狙うというのとは逆の、ボトムアップの発想とも言うべき戦略だ。

 「ものすごくカンフーが上手な敵」というものを設定せず、アクションの焦点を途中からうまくずらすことで(敵を倒した後に、火のついた石油トラックを救うために活躍する)、クライマックスの興味を持続させている。これは面白い試みで、見事に成功している。これによって、敵を倒すことから生じる陰惨さもずいぶんと軽減されているように思う。

2002/6/13

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