Too Smooth(トゥー・スムース) 嘘つきは恋の始まり

Hairshirt

Dean Paras / Neve Campbell,Katie Wright,Rebecca Gayheart,Marley Shelton、David DeLuise / 1998

根本的なところで大失敗

 製作・監督・脚本・編集・主演のディーン・パラスは役者出身の人のようで、その他の職務はすべてこれが初めて。この大失敗の責任の所在がはっきりしていて気持ちよい。ちなみに、出演もしているネイヴ・キャンベルが初めて製作に関わった映画である。"Too Smooth"は、本国で2001年に再リリースされたときのタイトル。

 ケーリー・グラントのような軽薄な色男を主人公とするロマンティック・コメディ。そのようなコメディがどれほど主人公の魅力に頼っているか、主人公に十分な魅力がなければどんなにひどい映画になるかを如実に示す失敗作だった。しかもこの映画、自分のことをリアル・ライフで本当に色男だと思っているに違いない男が、自分で製作・監督・脚本・編集・主演している映画の中で、そのような色男の「傷つきやすい側面」などを演じたりしちゃっているのである。この世の中にそんなことを許せる人が、当人以外にいるとは思えない。

 さらに、ヒロインを演じる、ナターシャ・ヘンストリッジの俗受けしそうなバージョンの顔をしたケイティ・ライトが原案と製作に絡んでいることを知ってしまうと、腹立ちはさらに強まる。男優と女優のナルシシズムが純粋培養され、誰も止める人がいなかったという映画である、これは。

 ちなみに、そういう事情を知ったのは映画を見終わってからのこと。見ているあいだは、どこかがおかしいという違和感がずっとつきまとっていた。全体的に正常な空間じゃないのである。それが2人の(ネイヴ・キャンベルも入れれば3人の)自己愛のせいだとわかったのは、IMDBでスタッフとキャストを確認したときだった。「ナルが入ってる映画」を一通り押さえておきたいと思っている人には強くお勧めする。

2002/7/21

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