グリッター きらめきの向こうに

Glitter

Vondie Curtis-Hall / Mariah Carey,Max Beesley / 2001

★★

これもまた自己愛だが

 監督のヴォンディ=カーティス・ホールは役者出身で、監督作品には『グリッドロック』(1996)がある。原題の"Glitter"は「輝き」とか「きらめき」という意味だが、映画中には、プロモーション・ビデオを撮影しているときの紙吹雪(紙じゃないが)のことを"glitter"と呼ぶ場面がある。本作は2002年度のゴールデン・ラズベリー賞に6部門ノミネートされ、ワースト主演女優賞を受賞したいわくつきの作品で、IMDBでは現時点で2.2点という凄い点数が付いている。

 しかしそれは、主演のマライア・キャリーに対するやっかみであろう。松田聖子バッシングと同じこと。そう考えてみれば本作は、『プルメリアの伝説 天国のキッス』(1983)や『カリブ・愛のシンフォニー』(1985)などと比べればちゃんとした映画だ。マライア・キャリーは「演技ができない」というわけではなく、ポップ歌手だということを考えれば、良い方だと言ってもいい。この人の場合は、露出の多い服装や首を傾げる媚びが観客に対するサービスになるという自己認識が、世間の感覚とずれているということに過ぎない。

 ストーリーはフィクションだが、いちおう彼女の「自伝的要素」が入っているということになっていることは、ポジティブには働かなかったようだ。いま松田聖子が、「田舎から出てきて頑張ったアイドルが世間から誤解され、男にだまされ捨てられて、やがては強くなって世界で成功してアメリカ映画(『アルマゲドン』『わたしが美しくなった100の秘密』)に出演するほど出世しました」というストーリーの映画に主演したら大変なことになるだろうが、まあそういうことである。そういう映画を見てみたいと思う私は、本作もそれほど気にはならなかった。

 そんな映画の中で、マライア・キャリーのロマンスの相手役となるマックス・ビースリーが悪くなかった。というか、映画の中ではもちろん浮いているのだけれども、少なくとも、今後のシリアスな映画の中ではシリアスな演技ができるということをちゃんと証明したと言える。まあ笑っちゃうんだけどね。

2002/7/21

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