密告の代償

Protection

John Flynn / Stephen Baldwin,Peter Gallagher / 2001

★★★★

渋いヤクザ映画

 なんとジョン・フリン監督作品。90年代には5本の監督作品があったようだが、私が見るのは、スティーヴン・セガールの『アウト・フォー・ジャスティス』(1991)以来。

 ニューヨーク・マフィアのスティーヴン・ボールドウィンが、司法との取引をして、証人保護プログラムの下で小さい町にやってくる。そこで隣人のピーター・ギャラガーと組んで不動産ビジネスに乗り出すなか、彼のあまりの真面目さとひたむきさに魅了されるという男臭い日活ヤクザ映画風のノワールである。

 この映画、主演格の2人の配役からも推測できるように非常に地味な作品で、ストーリーもそれに相応して中途半端というか、スカっとしないというか、含蓄が深いというか、まあなんと表現すればいいのかよくわからない。私は、ボールドウィン兄弟のなかではこのスティーヴンが一番まともだと思っており、本作でも『N.Y.殺人捜査線』と同じく彼の演技を楽しむことができた。ニューヨークの本場で縄張(シマ)を張っていた男にとっては田舎町の小悪人なんか相手にならないのだが、身を隠すためにも派手な振る舞いは慎まなくてはならない。つまりストーリー全体を通して、彼は普通の意味で「改心」はせず、その無表情な顔の下に狂気や残酷さが潜んでいる。そういう、訳のわからない男を演じるのに、スティーヴン・ボールドウィンはぴったりである(なんせ表情のバリエーションがあんまりないから)。

 それと対照的な、開けっぴろげな善人を演じるピーター・ギャラガーが、私の感覚では『あなたが寝てる間に…』(1995)以来の大ヒットを飛ばしている。渡哲也と浜田光夫の共演作品という感じだ。

 スケールの小さいフィルム・ノワールの佳作。派手な演技や映像を詰め込めばかっこよく見えるという確信に支えられた90年代風犯罪映画へのアンチテーゼとして、あまり期待せずに見れば楽しめると思う。地味です。

2002/8/23

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