大爆破

Phantom - Die Jagd nach Dagobert, Das

Roland Suso Richter / Dieter Pfaff,Jorg Grudzuhn,Peter Stribeck,Simone Thomalla / 1994

★★★★★

これは名作

 ドイツのTVムービー。なぜか1994年製作の作品が、いまになってビデオ化されて発売されたのだが、それは監督のローランド・ズーゾ・リヒターの新作『トンネル』(2001)の公開に合わせてのことなのだろう、といまになって気づいた。

 原題の"Das Phantom - Die Jagd nach Dagobert"は、英語に訳せば"The Phantom - The Hunt for Dagobert"なのだが、このDagobertはドナルド・ダックの金に汚いおじさんで、映画中で描かれるように、ドイツでは誰もが知っているコミック中のキャラクター。Dagobertと名乗る爆弾魔がデパートのKaufhausに爆弾を仕掛け、金をよこせと脅迫してくる。タイトルと状況が最初からコミカルなのである。

 ドイツのTVムービーということで★1つ分だけアップグレードしているが、これは面白い作品だった。主人公のディーター・ファフ演じる、昇進したばかりの警部長(と訳すのか? Hauptkommisar)が事件を解決しようと奮闘するが、なかなかうまく行かない。上司と部下との間の板挟みにあい、太りすぎの体格に悩み、お洒落な部下に腹を立て、捜査中に知り合った女性に粉をかけて失敗したりする。そういうリアリティ重視の警察もの。イギリスの「フリッツ・シリーズ」をご存じの方は、あれに似たものと考えればよい。このディーター・ファフという人は、後に1996年ごろからHans Sperlingという役名のTVムービーに連続出演しており、たぶん本作と似たようなことをやっているのだろう。役にはまっている。

 詳しくは書かないが、脚本は捻りのよく利いたミステリとして一級品。映像のレベルでも安定しており、演出もうまく、ただの警察ものの映画として見ても十分に満足できるだろう。こういうものがときどきあるから、ドイツ製TVムービー漁りはやめられないのだ。ちなみに「大爆破」と言えるような爆発は起こりません。

2002/9/16

 再見したところ、これはやはり非常に良かった。アップグレードなしでも★5つに値する名作だと思う。

 なお、今回気づいたのだが、映画の字幕翻訳は、英語をもとにしてやっている可能性が高い。これに限らず、このところ多く出ているドイツ製のTVムービーの字幕には、英語版のスクリプトを使った重訳が少なくないんじゃなかろうか。たとえば本作では、映画中でのDagobertという単語が"duck"と訳されていて、それが「アヒル」となったんじゃないかと思う。そしてたぶん翻訳者はドイツ語に関する知識を持っていない。

 まあどっちにしろ、ドイツ製のTVムービー全般は、ドイツ語からの直接訳をぜひ行わなくてはならないというようなシリアスなものではないし、字幕翻訳そのものが重訳をやっても大して変わりのない作業ではあるんだが、気持ち悪いことはたしかではある。

2002/11/15

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