オー・ブラザー!

O Brother, Where Art Thou?

Joel Coen / George Clooney,John Turturro,Tim Blake Nelson,John Goodman,Holly Hunter,Chris Thomas King,Charles Durning / 2000

★★★

慢心か

 コーエン兄弟の作品。『ビッグ・リボウスキ』の次の作品ということになる。原題には疑問符があるのに、邦題には感嘆符があるという珍しいケースである。

 はっきりいって、慢心している。それっぽい役者を排して、それっぽいエピソードをそれっぽく描き、それっぽい音楽を流しておいたらOKでしょう、という甘えが感じられる。近代的な物語の論理性がない原作(ホメロスの『オデュッセイア』)を持ってきたのは、脚本上の手抜きをする言い訳のためだという感じすら受ける。

 しかし、『ビッグ・リボウスキ』の項に書いたように、もともと私はこの人たちのコメディ路線の映画をあまり好きになれなかった。その理由の一端が、本作のいくつかのシーンでわかったような気がする。たとえば、クー・クラックス・クランがバズビー・バークリー風の集会をしていたとか、洪水の中でポマードの缶や犬が流れてくるというような「コーエン兄弟風のシュールリアリスティックな視覚効果」は、観客に笑う準備ができているコメディの中に置くよりも、シリアスな映画の中に置く方が映えるのである。こういう視覚効果は、コメディのギャグのオチとしては使えない(あるいは、彼らはその使い方を習得していない)のだ。

 本作のティム・ブレイク・ネルソンは、『ビッグ・リボウスキ』のスティーヴ・ブシェミと同じく、非常に美しい。その他は、ブルース・ミュージシャンのクリス・トーマス・キングがアメリカ映画にはなかなか見られない「ど素人の演技」をしているのがかえって清々しく思えてしまうような定型的な演技と演出であった。

2002/10/5

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