シャドー・フューリー

Shadow Fury

横山誠 / Sam Bottoms,船木誠勝,Bas Rutten,Pat Morita / 2001

もったいない

 監督の横山誠は、フィルモグラフィーを見るとスタント/アクション出身の人のようだ。

 「従属遺伝子」なるものを埋め込まれた、感情のない、セリフの少ない、無表情な殺し屋クローン忍者(プロレス団体「パンクラス」の船木誠勝)が、科学者たちを殺す指令を受け、刺客として送り込まれる。本作を見て、感情のない、セリフの少ない、無表情な殺し屋を演じるのには、やはり演技力が必要なのだということがわかった。船木誠勝はあまりにも演技が下手なので、周囲に登場する安っぽいB級役者たちの典型的なB級演技が高級なメソッド演技に見えてくるぐらいだった。「無表情」という表情を作るのは難しいのである。

 私は「パンクラス」のファンで、一時期はときどき会場にも足を運んでいた。船木誠勝が書いたトレーニング本も買ったぐらいである(彼が自分のことをどう考えているのかがよくわかる本だった)。また本作のクライマックスに登場するバス・ルッテンは好きだったレスラーの1人で、この人がフランク・シャムロックと戦った試合はいまでも脈絡なく思い出すことがある。他の条件を無視すれば、船木誠勝のルックスと体格はアクション映画の材料として一級品だと思われる。その彼が出演したアメリカ映画が、これほどひどいものになってしまったことが実に残念だ。

 なんというか、いわゆる特撮オタクのレベルの低さが如実に表れているというべきだろう。脚本がひどいが、撮影や編集全般も非常にクオリティが低い。スタントはアメリカ映画の中では良い方に入るが、ワイヤ・アクションの使い方が安っぽくて、迫力を台無しにしている。クライマックスの船木とルッテンの対決はさすがにかっこいいが、それを十分に活かしたコレオグラフィーや編集が行われていない。もったいない。

2002/10/5

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