真実の瞬間(とき)

Guilty by Suspicion

Irwin Winkler / Robert DeNiro,Annette Bening,Martin Scorsese / 1991

★★

中途半端な政治映画

 50年代のハリウッドでの赤狩りを描いた映画。監督のアーウィン・ウィンクラーはプロデューサーで、初期の『ひとりぼっちの青春』、『いちご白書』、『さらば青春の日』などの反体制的若者映画は誰もが見ている重要作。それが1970年代の後半になって『ニッケルオデオン』や『ロッキー』などを作るようになり、1980年代にはついに『ライトスタッフ』にまで行ってしまった。スコセッシ、デニーロ人脈のものが多く、スコセッシものを除くと、かろうじて支持できるのはコンスタンタン・コスタ=カヴラスの『背信の日々』(1988)ぐらいか。

 まあそういう風に「転びプロデューサー」として有名になっていたアーウィン・ウィンクラーの第1回監督作品。第2作は1992年の『ナイト・アンド・ザ・シティ』、第3作は1995年の『ザ・インターネット』。この『真実の瞬間(とき)』は下手したら『ザ・インターネット』よりも悪いかもしれない(『ザ・インターネット』は、「ネットを巡る巨大な陰謀に巻き込まれる個人。しかしその個人もネットの力を使って反撃する。ネットはそのような力を持つ新しいメディアなのである」というような企画書から始まったんだろうと思う)。

 映画監督を演じるロバート・デニーロが赤狩りに抵抗しましたという英雄物語。共産党員は投獄されても外国に逃亡してもまあしかたない(ちなみにマーティン・スコセッシが短い出演時間ながら好演)。でも僕たちは共産党員じゃないのに弾圧されて仕事ができない、なんて可哀想なこの僕、というレベルで同情を誘えると思っているところの浅薄さと言うかなんというか。

 そういえばエリア・カザンは1998年にアカデミー名誉賞を受賞したが、この際にハリウッド内でもかなりの反発があったことが伝えられた。でも、ハリウッドでの赤狩りは、「弾圧された人がその後必ずしもいい映画を作ったわけではない」という何ともやりきれない問題を含んでいるトピックである。アーウィン・ウィンクラーがこの『真実の瞬間(とき)』という映画を作ったという事実が、その一筋縄では行かない事情をまたもや体現してしまったといえる。

 デニーロの元妻をアネット・ベニングが演じている。ブラジャー姿のショットがあるが、驚くほど腰のくびれがない。

1999/11/14

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