パニック・ルーム

Panic Room

David Fincher / Jodie Foster,Kristen Stewart,Forest Whitaker,Dwight Yoakam,Jared Leto / 2002

★★

限定状況ものとしては脚本がお粗末

 デヴィッド・フィンチャー監督作品(『ファイト・クラブ』『ゲーム』)。派手な映像を排し、登場人物と場所を限定して作った限定状況もののサスペンス。その割には脚本上の工夫がなさすぎる。デヴィッド・フィンチャーに特有の鬱陶しさがないだけマシと言えるかもしれないが、かなり退屈な映画だった。

 ジョディー・フォスターとその娘クリスティン・スチュワートが、離婚した夫からふんだくった慰謝料を使って、どでかい家を購入する。防犯設備の1つとして、独立した電話回線、換気装置、屋内の個々の部屋に据え付けられた防犯カメラのモニターなどを備えた「パニック・ルーム」があった。そこに、フォレスト・ウィテカー、ジャレッド・レトー、ドワイト・ヨーカムの3人組の泥棒が、彼女たちが引っ越してきたことを知らないまま押し入ってきて、鉢合わせする。

 この家の構造をちゃんと描けていないために、サスペンスが醸成されない。たとえば1階から3階まで戻ってくるのにどれぐらいの時間がかかるのか、パニック・ルームの入り口と階段の位置関係はどうなっており、どこに立てば入り口が監視できるのか、カメラがどこにあって、どこが死角となるのかといったことをちゃんと映画の中で説明しておかないと、「果たしてジョディー・フォスターは奴らに気づかれる前にパニック・ルームを出て、目的のものを回収できるのだろうか?」というサスペンスは生じないのだ。生じるサスペンスは、単に「果たして脚本上、ここでジョディー・フォスターは捕まることになっているのか?」ということだけである。で、私はデヴィッド・フィンチャーという人は、こういうことに関するセンスが皆無であると思っている。こけおどしの映像だけで切り抜けてきた人なのだから。

 ジャレッド・レトーが珍しく乱暴な愚か者を演じている。さらに乱暴なドワイト・ヨーカムにはかなりの説得力があった。そのため、いつもと変わらないフォレスト・ウィテカーの役回りが最初からわかってしまうという問題があってかなりつまらなくなる。

 ジョディー・フォスターは、別れた夫のパトリック・ボーショーとの対照もあって、「計算高い女」にしか見えなかったが、それでいいんだろうか? 私には、妻のあまりの冷たさに嫌気がさして温かいリレーションシップを求め、寛大な慰謝料を払うという犠牲を払って新しい生活に乗り出したパトリック・ボーショーが、真夜中のヒステリックな電話に応えて善意で駆けつけてエラい目にあったというストーリーが見えてしまったんだが。

2002/10/10

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