マルホランド・ドライブ

Mulholland Dr.

David Lynch / Naomi Watts,Laura Elena Harring,Justin Theroux,Ann Miller,Dan Hedaya,Mark Pellegrino,Lee Grant / 2001

★★★★★

失敗作なんだとは思う

 デヴィッド・リンチ監督・脚本作品(『ストレイト・ストーリー』)。『ブルー・ベルベット』(1986)タイプの変態ミステリ映画。

 エンディングまでの数十分がやたらに平凡なオチに向かったので、こりゃ何だと思ったのだが、もともとTVシリーズのパイロットとして作られた作品がボツになったので、後から辻褄を合わせたということらしい。DVDに収録されているインタビューによると(ちなみにこのインタビュー、日本人のインタビュアーの質問1つ1つをデヴィッド・リンチがバカにする、ちょっと怖い映像である)、ある晩にアイデアを思いつき、30分で煮詰めたとのこと。いったんはなるほどと納得したが、よくよく考えてみると、このオチをつけずにどうやって話を進めていくつもりだったのかという疑問が生じた。

 本作で一番美しく、一番異様なのは、オンタリオからやってきたナオミ・ワッツがロサンゼルス空港のエスカレーターを下りてくるシーンである。このシーンが最初から入っていたのかどうかはわからないが、理屈の上からは、後から追加されたものだと思われる。そうやって考えていくと、もともとのバージョンは、殺し屋が人を殺すところとか、映画監督が災難に遭うところとか、正体不明な黒幕が何か指示を出すところといった、相対的につまらないシーンから構成されていたのではないかと想像できる。だとしたら、パイロットがボツになったのも無理はない。

 というわけで、本作はボツ作品のリサイクルであり、無理にオチを付けた、破綻した失敗作なんだと思う。そうではあるけれども、本作のいくつかの美しいシーンは、それだけで映画を見ることへの欲求を十分に満たしてくれた。上記のエスカレーターのシーンのほか、オーディションの様子、ナオミ・ワッツとローラ・エレーナ・ハリングがダイアン・セルウィンのアパートを訪ねていくところなどだ。

 ナオミ・ワッツは、特に後から追加された部分が後から急に要求された演技だと考えると凄いと思う。ローラ・エレーナ・ハリングは美しい。懐かしや、アン・ミラーがアパートの管理人の役で出演している。普通の劇作品への出演は、なんと1956年の"The Great American Pastime"(未見)以来。顔の形がぜんぜん変わっていなかった。

2002/10/22

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