テシス/次に私が殺される

Tesis

Alejandro Amenabar / Ana Torrent,Fele Martinez,Eduardo Noriega / 1996

★★★★

デビュー作として秀逸

 アレハンドロ・アメナバール(『オープン・ユア・アイズ』『アザーズ』)のデビュー作。監督・脚本・音楽を担当している。本作は『次に私が殺される』というタイトルで公開され、ビデオ化の際に『殺人論文/次に私が殺される』になり、ビデオ再販時に『テシス/次に私が殺される』になり、DVD化の際に『テシス』となった。英語の"thesis"、すなわち学位論文を意味するスペイン語。

 アナ・トレント演じる映画学校の学生は、映像における暴力をテーマとした論文を書いていて、暴力オタクのフェレ・マルティネスの協力を求める。その後、彼女は指導教官経由でスナッフ・フィルムを入手し、誰が撮影したのかを調べにかかる。撮影に使われたカメラを突き止め、そのカメラを持っているハンサムな学生エドゥアルド・ノリエガ(『オープン・ユア・アイズ』の主人公)を疑うようになる。徐々に手がかりが増えていくが、犯人の正体が誰なのか、彼女は最後まで確信を持てない。

 これは『オープン・ユア・アイズ』よりもはるかに優れている、サスペンスフルな映画だった。ただし大きな欠点がある。そのサスペンスの大部分が、彼女が早めに警察に行っているか、関係者一同とちゃんとコミュニケーションをとっていれば生じなかったタイプのものだということだ。したがって、本作はサスペンス映画、あるいは謎解き映画として見ると、脚本のレベルで間違っている失敗作である。アレハンドロ・アメナバールは脚本を書くのが苦手なのかもしれない。しかし、撮影と編集、そして音楽のつけ方の見事さには、大傑作の『アザーズ』に通じるところがある。

 『ミツバチのささやき』(1973)の公開時に7歳だった1966年生まれのアナ・トレントは、この時点で30歳。人間の暗い面に関心を抱く危うさを備えた正統派美女として完璧。この人は、フィルモグラフィーを見ると着実に映画出演をしているのだが、日本にはほとんど入ってきていない。

2002/10/22

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