スタンドオフ

Standoff

Andrew Chapman / Natasha Henstridge,Robert Sean Leonard,Dennis Haysbert,Paul Ben-Victor,Keith Carradine,Tricia Vessey / 1998

★★★★

これは掘り出しもの。非常によくできているデビュー作

 日本未公開。監督のアンドリュー・チャップマンは、『ポカホンタス』の脚本にクレジットなしながら参加しているようだが、本作が初監督・脚本。FBIの捜査官がカルト教団の本拠に攻撃を仕掛けて返り討ちにあうという話。

 『スピーシーズ2』(およびその前作の『スピーシーズ』)のナターシャ・ヘンストリッジが出ているという売り文句だけに釣られてビデオを借りた。とうぜん何の期待もしていなかったのだが、最初の5分ほどでこれは傑作なんじゃないかと思い始め、その予想は裏切られることなく、最後までテンションが持続した。これは掘り出しものだった(それともバカな映画ばかり見ているがゆえの錯覚か?)。

 ストーリーの大部分は、カルト教団の本拠地から少し離れたところにある農家で展開する。周囲には教団の狙撃者たちが潜んでいるので、実質的にこれは密閉空間になっている。つまりこれは密閉空間で複数の人間の間にドラマが展開する極限状態ものなのだが、この映画メモでこれまでに取り上げた同種のもの、すなわち『スフィア』『CUBE』『ダウンタイム』(ちょっと違うか)、『アルビノ・アリゲーター』『絶体×絶命』(これもちょっと違うか)のどれよりも良くできていることは間違いない。まあ比較の対象が悪いといえばそれまでなのだが、デビュー作で、監督と脚本を手がけてこういう映画になったのは相当なことだと思う。

 そうとう練ったのだろう、脚本がとてもよくできている。それを映像化しきれなかった部分もあるんだが、何がやりたかったかは十分に伝わってくるので、こちらで補うということをやっていると、このストーリーではほぼ完璧な事件の起こし方と時間配分であることがわかる。主人公のアイルランド人捜査官にロバート・ショーン・レナード(映画に恵まれていないが演技派)、相棒の黒人捜査官にデニス・ヘイスバート(『メジャーリーグ』のシリーズの常連)、小男の捜査官にポール・ベン=ヴィクター(知らん。『マキシマム・リスク』に出てたらしい)、地元の捜査官にキース・キャラダイン(渋い)、女その1にナターシャ・ヘンストリッジ、女その2にトリシア・ヴェッセイ(『ビーン』『コレクター』に出ていたらしいが、まったくわからない)が配されており、いずれも過剰にならないていどの演技で落とし所がうまい。

 この農家には、2階、1階、地下の3つの空間があり、それぞれ異なる意味合いが持たされている。残念ながらこれらの間の関係がうまく活かされているとは言えないが、それぞれの空間の光の微妙な違いは十分に考えられており、ストーリーともうまく絡んでいる。この映画の唯一の欠点は、これらの空間の相互の関係と、中の(特に2階の)構造がよくわからないというところにあり、何度か歯がゆい思いをしたことはたしかだ。

 この映画が日本で劇場公開されなかったのは、たぶん全体的に地味だからだろう。でもこの地味さは上品さにつながっているので断固支持する。

1999/11/16

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