マジェスティック

Majestic, The

Frank Darabont / Jim Carrey,Martin Landau,Laurie Holden,Bob Balaban / 2001

大失敗作

 フランク・ダラボン製作・監督(『グリーンマイル』)。見て驚いたが、これは赤狩り映画であった。しかも90年代以降のアメリカ映画の大きな流れである保守化のコンテキストの中での赤狩り映画である。

 舞台は1951年。ハリウッドの新進脚本家が、復員後に学んでいた大学で、気になる女子学生の気を惹こうとマーシャル・プランの精神に沿った大学サークルの集会に参加したことが原因で赤狩りのターゲットとなってしまう。失意の主人公は、車の事故で橋から落ち、記憶喪失となって田舎町の海岸に打ち上げられる。そこで、第二次世界大戦に出征して帰らなかった青年と間違えられ、町民たちに歓迎される。その青年の父親が経営していた映画館(原題の"The Majestic"はこの映画館の名前)を復元し、営業を再開するという感動的な事業を行うが、赤狩りの手が伸びてきて、記憶も回復し、聴聞会での証言をすることになる。

 主人公は、俺は絶対に共産主義者じゃないが、言論の自由を侵害する赤狩りは、第二次世界大戦で戦った英雄たちの信念に反するものである、というスピーチを行う。で、彼の名前をチクったのは、彼が追いかけていた、メディア業界に入った女子学生その人だった、やっぱり共産主義者は悪いやつらだったというオチがつく。スティーヴン・スピルバーグがその典型である「ベトナム戦争のことは忘れて、第二次世界大戦のことを思い出そう」派が、これまでリベラルの専売品であった赤狩り批判にまで手を伸ばしたという図式だ。

 主人公が流れ着く町の住人たちは、そのようなスピーチを行った彼を賞讃することになっているが、ここが最もリアリティの薄い部分である。保守的な田舎町の住民たちが、共産主義者を擁護するようなスピーチを果たして歓迎するだろうか。古い映画への郷愁が「悪用」されていることも気にくわない。ハリウッド10を歴史から抹消しようという勢いだ。

 フランク・ダラボンは、『ショーシャンクの空に』でも『グリーンマイル』でも、細かい部分の作りが非常に上手だったのだが、本作ではそのような映画作法上の妙手がほとんどなく、感動的であるべきシーンの多くが、タイミングを外して失敗している。町に帰った主人公がガールフレンドと再開する場面はその典型だろう。フランク・ダラボンはスティーヴン・スピルバーグ化しつつある。

2002/12/13

IMDBの該当ページへ

検索ページへ 目次へ 前へ 次へ