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TVシリーズ / Kiefer Sutherland,Leslie Hope.Sarah Clarke,Xander Berkeley,Carlos Bernard,Elisha Cuthbert / 2001

★★★★★

途中からダレるものの、賞讃すべき試み

 FOXのTVシリーズ。シーズン1がDVD化されたのでボックス・セットを購入した。amazon.comのDVDのプロダクト・ページも参照のこと。ただしDVDはリージョン1なので注意されたい。このところぱっとしなかった主演のキーファー・サザーランドは、本作によって一気に名声を高めたという。

 Counter Terrorist Unitという架空の連邦機関のLA支局長キーファー・サザーランドが、カリフォルニア州の民主党大統領候補指名選挙の日に、初の黒人大統領になることが期待されている上院議員の暗殺計画があると知らされる。物語はそのニュースを受け取った深夜0時から始まり、その日の終わりまで(つまり24時までの24時間)が24回のシリーズに分けて「リアルタイム」で進行する。現実にはコマーシャル・ブレイクがあるので1エピソードは40分ほどの長さなのだが、コマーシャルの放映中も劇中の世界の時間は同時進行しているという設定になっている。

 ヒッチコックの『ロープ』など、ショットの長回しを行う結果として、あるいは演劇の映画化であるがゆえに、物語がリアルタイムで進行するという趣向はこれまでもなかったわけではない。しかし、普通の映画的/TVドラマ的な編集技法を用い、いくつもの場所でさまざまな事件が進行するというストーリーで、リアルタイムの物語が24時間も続くというのは、史上初めての実験的試みであろう。たとえば劇中で誰かがA地点からB地点に移動するのに30分かかるとすると、その人は30分後にならないとB地点に現れないわけである。「朝の8時に上院議員が工場の見学を行う予定である」となると、物語が始まってから8時間経ってようやくそれが起こるのだ。

 ただし、実験映画的な試み(たとえば車で移動する人を延々と撮り続けるとか)は行われない。そういう試みがいっさいなかったことが少し不満ではあるのだが、製作者たちはこれをあくまでも普通のTVドラマとして成り立たせようとしている。したがって、誰かが30分かかるA地点からB地点への移動を始めると、その後の30分間は別の場所で進行している別の事件の描写が中心になるというように、時間のギャップがシーンの切り替えによって処理される。

 普通のTVドラマなので、各エピソードはクリフハンガー的な終わり方をする。次のエピソードはそのクリフハンガーを受けて始まり、失速することなく次のクリフハンガーへとつなげる。そういうわけでこの24時間(あるいは24 * 40 / 60 = 16時間)は、最初の15分ぐらいが「起」で、その後の23時間は延々と「承・転」が続き、最後の15分ぐらいで「結」が来るという凄い内容になっている。この「承・転」があまりにも甚だしいため、さすがに昼の12時を過ぎたあたりからバカバカしく感じられてきたのだが、それを乗り越えると、よくもまあここまで徹底的にやったなという感動が生じてきた。

 このようなさまざまな制約を考慮すると、本作の脚本は驚くほどよくできているといえる。個々のエピソードに、いくつかのストーリーの流れをバランスよく配置し、しかもそれらの「ショット」が合計で40分になるように調整しなくてはならなかったわけだから、細かいところでの工夫はそうとう大変だっただろう。また、スパイもの、サスペンス映画としてのレベルもかなり高く、少なくとも小道具の使い方などのレベルで「そんなことあるわけないだろう!」という違和感はほとんど感じられなかった。キーファー・サザーランドが所属しているCTUという組織は、『エネミー・オブ・アメリカ』で「告発」の対象となっていたような全能的な監視組織であり、強力な情報収集能力を持っているのだが、官僚制にも毒されているので行動に制約を受けるというあたりのバランスの取り方も巧妙である。

 飽くまでもTVシリーズの枠の中で、徹底的にエンタテインメントを追求した細やかな作品。見終わった後少し空しい気持ちになるけれども、ついつい次のエピソードも見てしまうという中毒性の高い作品である。キーファー・サザーランドはちゃんとやっている。

2002/12/13

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