Awful Truth, The

Awful Truth, The

Michael Moore / Michael Moore / 1999

★★★

リベラルのギャグ

 比較的マイナーなケーブル・チャンネルで放映されたシリーズの1シーズン目を見た。amazon.comのプロダクト・ページを参照されたい。なおDVDはリージョン1なので注意。

 これを買ったのは、このマイケル・モーアという人による本"Stupid White Men"(amazon.comのページを読んだ、というか途中まで読んで放り出したからである。この本は『アホでマヌケなアメリカ白人』(TRCのページ)というタイトルで邦訳が出た。なぜ途中で放り出したかというと、ギャグが詰まらないからだった。「リベラルな立場からの政治的ギャグ」で、菅直人と辻元清美がナウいセンスのギャグの応酬を「朝まで生テレビ」でやっている、というほどはひどくなくても、基本的にはそういう路線なのである。だから「読書メモ」にも載せなかったのだが、これを機会に、いちおうレビューを書くだけはしておこうかと思う。

 このシリーズも、基本的にはそういう路線である。30分番組。リベラル的なトークに加えて、毎回だいたい2本の「ドキュメンタリー・フィルム」がある。その内容は、「進め! 電波少年」の過激な、あるいはまっとうなやつとでも言おうか、突撃ドキュメンタリーだ。これにもリベラル臭があって厳しいのだが、いくつかは感動できるものもあった。

 "The Voice-Box Choir"。クリスマスの日に、喉頭ガンで声帯を失い人工声帯を着けている老人5〜6人を引き連れて、タバコ会社のロビーに侵入し、クリスマス・キャロルを歌う。その他、タバコ会社のロビイストの事務所や支持派の議員の自宅にも行く。

 "Funeral at an HMO"。糖尿病のせいで膵臓の移植が必要になったが、HMOに手術料の支払いを拒否されたために、いまにも死にそうになっている男が、自らの葬式への招待状を刷って、そのHMOの本社に入り込み、社員に招待状を手渡す。

 "Duck and Cover"。ちょうどインドとパキスタンの核実験の頃の話。「核保有国のクラブへようこそ、われわれは先人として、いろいろと教える義務がある」という前振りで、インド人とパキスタン人を一室に集め、冷戦時の核の恐怖が絶頂期だったころの、「何かが起こったらすぐに机の下に身を隠しなさい」という避難訓練のフィルム("Duck and Cover"というタイトルの楽しいアニメで、主題歌が付いている)を見せ、訓練させる。

 "Hitler Makes a Withdrawal"。ちょうどスイスの銀行が、もとはユダヤ人のものだった預金を隠し持っているというスキャンダルが出た頃の話。ちょび髭をはやし、ナチスの軍服を着たヒトラーのそっくりさんが、スイスの有名銀行に入り、窓口で「預金を引き出したいんですけど」と言う。「あなたのお名前は?」と聞かれて、"My name is Hitler."と大まじめで答える。

 "Weapon Inspectors"。国連によるイラクの核施設に対する査察が妨害されているという話が出た頃の話。そこらへんにいるイラク人を捕まえて、アメリカの軍事基地の査察をやらせる。核を搭載している潜水艦がある基地に、「査察に来ました」と言って入ろうとするが拒否される(笑)。生物化学兵器の貯蔵施設の見学を許され、そこでいろいろと質問をし、写真を撮った上で、アメリカの議会の聴聞会の会場に行き、政治家たちに、「いま大量破壊兵器の査察の妨害が問題になっていますが、私たちの査察の結果をお知らせします」といって資料を渡そうとする。

 面白そうに聞こえるかもしれないが、それは私が面白そうに書いたからであり、実際にはいろいろな問題がある。日本でここまで腹を括ったものがあればぜひ見たいとは思うけれども。

2002/12/27

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