ワンス・アンド・フォーエバー

We Were Soldiers

Randall Wallace / Mel Gibson,Madeleine Stowe,Greg Kinnear,Sam Elliott,Chris Klein,Keri Russell / 2002

★★

いろんな意味で哀しい

 製作・監督・脚本のランダル・ウォレスは『ブレイブハート』(1995)と『パール・ハーバー』(2001)の脚本を書き、『仮面の男』(1998)の製作・監督・脚本をやった人。本作はメル・ギブソン主演のベトナム戦争映画。

 時代は一巡し、ベトナム戦争をテーマにした「ヒロイックなアメリカ人」を描くことが可能になった。いろいろと理屈はつけているが、1990年代から目につくようになったアメリカの自己正当化の流れの中にある(また2001年の9/11事件の影響を受けた)映画であることは間違いない。主役のメル・ギブソンが演じている軍人と、バリー・ペッパーが演じているジャーナリストの共著である原作の映画化。米軍が北ベトナム軍と初めて本格的に交戦したイア・ドランの戦いを描いている。

 私はHBOのミニ・シリーズ『バンド・オブ・ブラザーズ』を見たばかりなので、戦争映画には点が厳しくなっている。このミニ・シリーズはエピソードによって出来不出来があるが、第6話と第7話は本当に素晴らしい。この2つと比べると、本作は予算の面でもキャストの面でも遙かに大がかりであるのに、貧弱に見えてしまうのだった。劇場用の娯楽作品なんだからしかたがないとは言えるが、アメリカ本国での兵士たちの妻たちの様子を描かなくてはならなかったこと、兵士を演じる役者の人種構成にアファーマティブ・アクションを適用せざるをえなかったこと、戦争映画における普通の意味でのヒロイックな行動をかっこいいものとして描かなくてはならなかったことが、本作を安っぽくしている。これらの要素をすべて剥ぎ取っていればいいものになっていたかもしれないが、ランダル・ウォレスという人にそのような発想はもとからないだろうし、何よりも客が入らないだろう。

 本作の興味深い点は、米軍とその敵の圧倒的な火力の差が描かれる終盤の虐殺シーン(そう、メル・ギブソンはフランス軍に対して行われた大虐殺を気にするが、結局は自分の側が虐殺に手を染めるのだった)が、たぶん、能天気なカタルシスの場面として描かれていないということにある。いやまあそりゃ、アメリカ人の中にはこれらのシーンで快哉を叫ぶ者もいただろうけれども、多くの人は嫌な気分になっただろう。演出の仕方からは、これが意図的なものであったと推測できる。明確な「反戦映画」でない戦争映画としては珍しいことだ(たとえば最近の『エネミー・ライン』のヘリコプターによる虐殺のシーンは、典型的な例である)。

 でも、その時点までに映画はその安っぽさのために修復不可能なダメージを受けていたと思う。

 頼もしい下士官にサム・エリオット。ヘリコプター・パイロットにグレッグ・キニア。若い純真な士官にクリス・クライン。メル・ギブソンの妻をマデリーン・ストウが演じているが、ちょっと老けてきたようで哀しい。

2003/1/26

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