アラモ

Alamo,The

John Wayne / John Wayne,Richard Widmark,Laurence Harvey / 1960

★★★★

驚くほど良い

 ジョン・ウェイン製作・監督・主演。この作品も25年ほど前に一度見たきりで、内容を完全に忘れていた。どうしても作りたかったが、映画会社が了承せず、仕方なく自分ですべてを切り回したといういわくつきの作品。

 私は子供の頃はジョン・ウェイン主演の映画を素直に楽しんで見ていたが、その後、彼が政治的にガチガチのタカ派であるという余分な知識が身に付いた。それを知ってから見た彼の映画がそんなにないことがせめてもの幸いである。

 本作は、現在ではたぶん製作が難しくなっている、アラモ砦の戦いをテキサス軍万歳の立場から描いた作品。どのように難しくなっているかは、ジョン・セイルズの『真実の囁き』やジョー・ダンテの『セカンド・インパクト』を見るとよくわかる。どちらの作品にもエリザベス・ペーニャがメキシコ人の苦悩を吐露する美しい場面がある。また前者ではラティーノだけでなくネイティブ・アメリカンと黒人も視野に入れて、合衆国とメキシコの戦争の複雑な側面を描いている。それでも、ラティーノ/ヒスパニックが政治的に微妙になったのはたぶん1990年代に入ってからのことで、比較的新しい現象である。。

 というわけで、本作は非常に不安だったのだが……。これは驚くほど良かった。ドラマの部分はこの時期の映画の普通の作り方で、現代の観客には不自然に映るかもしれない(私はこれでもいいんだが)。一方、アクション・シーンと戦闘シーンはいまでも十分に見応えがある。兵力の圧倒的な差の演出という点では、ベトナム戦争を題材にした『ワンス・アンド・フォーエバー』よりもはるかに説得力がある。

 今回、『史上最大の作戦』と併せて、ジョン・ウェインの出演作を続けて見たことになるが、改めてこの人のスクリーン上での存在感に圧倒された。ほとんどの場面でいつもと同じ顔で突っ立っているだけなのだが、私としてはそれ以上何も要求する気が起きない。いまこれと同じことができるのはクリント・イーストウッドぐらいだろうか。

 アラモに立てこもったデイヴィー・クロケット(ジョン・ウェイン)、ジム・ボウイ(リチャード・ウィドマーク)、ウィリアム・トラヴィス(ローレンス・ハーヴェイ)の最期はドラマティックに演出されているだろうと思っていたが、これが意外なほどあっさりと死んでいく。特に英雄的な不自然なことをするわけでもなく、単に多勢に無勢で負けたという感じだ。

 また本作の面白いところは、テキサス共和国万歳であるにもかかわらず、メキシコ人の側にも強い配慮をしているところ。「敵ながらあっぱれ」というやつだ。トマス・ネーゲルの『コウモリであるとはどのようなことか』には、ベトナム戦争の進行中に書かれた「戦争と大量虐殺」というエッセイがある。そこで反戦派の立場に立つリベラルなネーゲルが、核兵器やナパーム弾や生物化学兵器に反対しながらも、フェアな戦争は支持していたのが印象に残っている。この点において、ジョン・ウェインとトマス・ネーゲルには共通する要素があったのだった。

 DVDには製作秘話を扱ったドキュメンタリー・フィルムが入っており、頼みもしないのに撮影現場にやってくるジョン・フォードをジョン・ウェインが嫌っていたこと、フォードが監督したシーンが(少なくとも)一カ所は使われていることなどが語られていて面白い。

2003/2/11

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