Dr. Tと女たち

Dr. T & The Women

ロバート・アルトマン / Richard Gere,Helen Hunt,Farrah Fawcett,Laura Dern,Shelley Long,Tara Reid,Kate Hudson,Liv Tyler / 2000

★★★★

愛すべき小品

 ロバート・アルトマン監督作品(『相続人』『クッキー・フォーチュン』『ロバート・アルトマンのジャズ』)。

 テキサス州ダラスの裕福な産婦人科医リチャード・ギアと彼の周囲の女性たちを描くコメディ・タッチの「人生って複雑でしんどい」もの。その狙いが成功しているとは言いがたいのだが、その「女性たち」の顔ぶれはといえば、ヘレン・ハント、ファラ・フォーセット、シェリー・ロング、タラ・リード、ケイト・ハドソン、リヴ・タイラーと、老練の映画監督が好みの女優を集めましたというにおいがプンプンする取り合わせ。ちゃんとお色気シーンも入れました、という感じである。

 公開時53歳のファラ・フォーセットは、あまりに幸せすぎて幼児に退行してしまった妻を演じている。私がこの人を見るのは1980年の『キャノンボール』以来かもしれないのだが、「可愛い女」を現役でちゃんと演じているのに驚いた。冒頭、ショッピング・モール内を徘徊するときのスキップするような足取りにゾクッときた。精神病院に入って、リチャード・ギアの訪問を受けるシーンもかなり凄い。

 ヘレン・ハントはリチャード・ギアのロマンスの相手となるプロゴルファーを演じる。本作に出てくる女性のなかで、唯一自立した女性として描かれており、その描き方にいくつか強烈なところがある。リチャード・ギアを自宅に招待し、部屋を片付けるところのキビキビした動きにゾクっときた。このあたりのアルトマンの演出はやはり神業だ。

 クリニックでギアの片腕となって働いているシェリー・ロングは、いま調べて驚いたが、1949年生まれの51歳。もともとこの人は遅咲きの人で、キャリア初期の『おかしなおかしな石器人』(1981)ではすでに30歳だった。この人の『マネー・ピット』(1986)、『ハロー・アゲイン』(1987)、『うるさい女たち』(1987)あたりは優れたロマンティック・コメディなのでお勧めしたい。本作ではちょっと空回りしているものの、私はその姿が見られただけでも嬉しかった。

 ギアの下の方の娘を演じるタラ・リードは、陰謀博物館かなんかに勤務して、JFK暗殺の現場のツアーガイドをやったりする。父親に向かって「私は大丈夫だからね」と繰り返し念を押すのがかえって怖い、という、気のきいた設定がなされている。

 上の方の娘を演じるのはケイト・ハドソン。結婚を迎えて不安定になっている、どうしようもないバカ娘。

 その友人のリヴ・タイラーは、本作で登場する主要登場人物のなかで唯一のブルネット。初めて登場した場面でのガタイの良さというか、胸のあたりの肉付きのすごさにちょっと驚いた。

 とまあ、こういう人たちがロバート・アルトマンの冷徹な演出とカメラワークの下でいろいろとやるところを見て楽しむための映画だ。

2003/2/11

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