越前屋俵太作品集

越前屋俵太作品集

越前屋俵太 / 越前屋俵太 / 2001

★★★★

面白いものもある

 コメディアン(に分類するべきなのだろう)の越前屋俵太の作品集、DVD全7巻。1990年代に作られたテレビ番組向けの作品が収録されている。

 私がこの人の名前を知ったきっかけは、たぶん1980年代に関西のローカルテレビ局でやっていた、町ゆく人にいたずらを仕掛けるパフォーマンスである。その後、東京のキー局の番組にも進出していたことを、このDVDを見て初めて知った。この路線のものは、本作品集の第一巻に収められている。

 この人の街角でのパフォーマンスの特徴は、いたずらの相手も巻き込んでしまうその限りない明朗さにより、仕掛け人と仕掛けられた人との間でコラボレーティブな作品が偶然に成立するところにある。などと言うともっともらしいが、いわゆる「パフォーマンス」全般が基本的に大嫌いな私が、この人のものを許容してしまうのは、そういうもっともらしい理屈を完全に隠して、できあがった映像だけで勝負しているためだ。そうとういろいろと考えて作っているはずだけれども、あくまでも子供向け番組や深夜番組で気楽に見られる数分のクリップを作るという姿勢を崩さないのがかっこいいのである。

 本作品集で、そのような街角パフォーマンスでない企画・演出ものを初めて見た。その路線のものは残念ながら頭でっかちで面白くない。この人の持ち味はやはりドキュメンタリーにあるようだ。

 というわけで、7巻のDVDのうち、見るに値するのは次の3つ。前述の、街角でのイタズラを収録した第1巻(ただし編集が下手なため見づらい)。「生き物バンザイ!」というシリーズの「その2」が収録されている第4巻。そして、たしか福井県のローカル番組「俵太の達者でござる」が収録されている第7巻。

 「生き物バンザイ!」は、越前屋俵太がいろいろな動物を相手に遊んだり実験をしたりするという企画で、動物相手のイタズラ・パフォーマンスと言ってよい。本人のコメディアンとしての反射神経の良さと知的好奇心の旺盛さがよくわかる楽しい作品。

 「俵太の達者でござる」は、奉行のかっこうをした越前屋俵太が、県内をぶらぶらと見回り、そこらにいる老人に声をかけて話を引き出すという企画。当地ではこれが大当たりして、視聴率30%を記録したこともあったという。DVDに収録されているものを見る限り、人気を博すのも無理はないと思われる、非常に質の高いドキュメンタリーになっている。

 異能の人、である。こういう人がドキュメンタリー番組やドキュメンタリー映画を作ってくれると嬉しいのだけれども、なかなかそうは行かないのが世の中なんだろうか。

2003/2/11

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