真実の行方

Primal Fear

Gregory Hoblit / Richard Gere,Laura Linney,Edward Norton,John Mahoney,Frances McDormand,Alfre Woodard,Andre Braugher,Maura Tierney / 1996

★★★★★

やはりこれは傑作だった

 グレゴリー・ホブリットの1996年の監督作品。劇場用映画としてはデビュー作である。『ジャスティス』のあまりの惨憺たる出来に、その前作の『オーロラの彼方へ』もいまいちだったことを思い出し、★5つを付けていた『悪魔を憐れむ歌』が本当にそれほど良かったのかどうかを確認しようと思って再見し、たしかに良かったことを再確認した。そこで、もう1作遡って、本作をもう一度見ておこうと思ったという次第。

 本作を公開時に見たときには、まず第1に、リチャード・ギアがかっこよくなっていることに驚き、第2に、エドワード・ノートンという新進俳優の存在感に驚いた記憶がある。いまになって見返すと、リチャード・ギアは1993年の『心のままに』あたりから良くなってきていたようだ。実は1989年の『背徳の囁き』で演じた腐敗警官も良かったのだが、あのときは「落ちぶれた」という印象が強かったのに対し、90年代に入ってからの彼は落ちぶれた人間を戦略的に演じるというニッチを確保したように思う。本作もその1つであろう。エドワード・ノートンは、同年に『世界中がアイ・ラヴ・ユー』『ラリー・フリント』がある。どちらも言ってみれば「大監督」の作品だが、新人監督の本作が結果としては一番良くできており、またエドワード・ノートン本人にとってはいくつもの「助演男優賞」をとる当たり役となった。

 本作を再見(しかも2回)して強く感じたのは、映画の端正さだった。きっちりとした構図を積み重ねていってストーリーを語るという基本に忠実な完成品である。また、本作はリーガル・スリラーとしても見るに耐える内容になっている。大胆な省略技法のせいで、その手の話が好きな人でないと、たとえば弁護側がビデオ・テープを検察側に送りつけた理由や、検察側がそれによって直面したジレンマなどを理解できないかもしれない。本作は、エドワード・ノートンという要素がなかったとしても一級品だと思う。

 検事のローラ・リネイ、州検察長官のジョン・マホーニー、裁判官のアルフレ・ウッダード、神経生理学者のフランシス・マクドーマンドという人選は非常に渋く、いずれも大成功している。特に、ローラ・リネイは見事。また、この次の『シティ・オブ・エンジェル』の天使役で強い印象を残し、その後『ハード・トゥ・ダイ』『デュエット』などで似たような役ばかりやっているアンドレ・ブラウアーが弁護側の助手を演じている。もう一人の助手を演じるモーラ・ティアニーは、この後、『パーフェクト・カップル』『恋は嵐のように』『人質』『ハーモニーベイの夜明け』などに出演し、『ER 緊急救命室』第6シーズンの医学生役でついに表舞台に立った(と言うべきだろう。これらの出演作と比べれば)。

2003/4/5

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