クン・パオ! 燃えよ鉄拳

Kung Pow: Enter the Fist

Steve Oedekerk / Steve Oedekerk / 2002

★★★★

予想以上に良い

 スティーヴ・オーデカーク監督作品(『ナッシング・トゥ・ルーズ』、そして『親指ブレアサム』などの親指もの)。どうしようもない人なのかと思っていたのだが、1991年の主演作『ジム・キャリーINハイ・ストラング』は驚くほどいい出来で、この人は映画監督よりも役者としての方が格段と優れていると思った。本作は、製作・監督・脚本・主演の怪作。

 1970年代に作られた香港映画に、デジタル処理を使って自分自身を主役としてはめこみ、ほとんどの出演者の吹き替えを自ら担当し、新たに撮影したシーンを埋め込んで新しい映画を作るという奇怪な企てである。古い映画の断片を物語の中で引用するという試みとしては、カール・ライナー監督、スティーヴ・マーティン主演の『スティーヴ・マーティンの四つ数えろ』(1982)が印象に残っているが、本作のように1本の映画をまるごと使用しているものは見たことがない。そんなバカげたことをやる動機が誰にもないからである。あるいは、これはまさに『ゴジラ』などの日本映画のアメリカでの公開のされ方のパロディであるとも言える。オーデカークはこのことを繰り込んで本作を作っている。

 「親指」シリーズのくだらないギャグは受け付けない私であるが、本作ではさすがに笑った。しかも何度も。この手のパロディとして考えつくネタを一通り、くどくならない程度にしっかりと押さえていて、気持ちがいい。

 なお、DVDに収録されている「オリジナル」音声トラックが面白い。まず、オリジナルの香港映画でどのようなセリフが喋られていたのかを確認できる。もう1つは、新たに撮影された部分のオリジナル音声。本作は、上に書いたように「吹き替えの外国映画」のパロディをやっており、吹き替え音声が役者の口と合わないこと自体をギャグの1つとしている(それがあまりクドくないところがスマート)。そのため、役者たちは本当はまったく意味のないセリフを喋らされており、付録の音声トラックではその内容を聞けるのである。

 また、DVDのカバーに描かれている、CGIの牛との格闘シーンの出来が非常によいのも注目に値する。

2003/4/26

IMDBの該当ページへ

検索ページへ 目次へ 前へ 次へ