邦題考2

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配給会社が外国映画の日本公開にあたって付ける邦題にケチをつけるという企画の第2弾。

2000/8/15

『愛と動乱のワルシャワ』"War and Love"
"War and Peace"との連想があるタイトルのはずだが、ちょっと安っぽくなった。第二次世界大戦下のワルシャワのユダヤ人の話。ところでこの「動乱」という言葉だが、私にはこの例のようにドイツが攻めてきて占領したというような状況を表すのには不適切な感じがする。「動乱」には「内乱」などの国内事情を原因とする混乱というイメージがある。★★

『ブロークダウン・パレス』"Brokedown Palace"
主人公のアメリカ人女性2人が入れられるタイの女性刑務所のニックネーム。果たしてタイ人もこの英語を使っているのか。★★★

『CUBE IQハザード』"Omega Diary"
なにがCUBEなのか、IQなのか、ハザードなのかよくわからない。単に、全面核戦争が勃発して、男女6人が核シェルターに入るという話。その中で主人公が日記をつけていて、それが人類最後の日記であるということから、omegaなんである。★

『コモド』"Komodo"
コモドオオトカゲ(komodo dragon)のこと。映画の中では、主人公の女性がコモドオオトカゲを見て"Dragon!"と叫ぶのだが、このとき字幕では「コモド」となっていた。ちなみにdragonという英語の生物学的な訳語は「トビトカゲ」。まさか主人公に「オオトカゲ!」とか「トビトカゲ!」と叫ばせるわけにはいかないが、「コモド!」と叫ばせるのはやっぱり変だろう。★★★

『ベイブ/都会へ行く』"Babe: Pig in the City"
『ベイブ』の続篇。『スミス都へ行く』は"Mr. Smith Goes to Washington"である。ちなみに"Mr. Deeds Goes to Town"は『オペラハット』。途中のナレーションで、(正確には覚えていないが)"It's tough to be a pig in the city."みたいな言葉が出てきて涙した。豚にとって(またそれに限らず動物一般にとって)都会は生きにくい場所なのである。その意味で、あくまでも映画のタイトルの文脈でだが、「都会へ行く」という言葉のニュアンスは違う気がする。この豚は、都会に来たくて来たのではなく、たまたま飛行機の乗り継ぎがうまく行かなくて、しばらく都会に滞在せざるをえなかったのだ。★★

『アップルゲイツ』"Meet the Applegates"
Applegate一家の物語。複数形である。★★

『聖なる嘘つき/その名はジェイコブ』"Jakob the Liar"
タイトルの要素を分解して、邦題とその副題を作るという興味深い方法。ちなみにこのJakobはポーランド人なんで、「ヤコブ」だろう。映画の中では(英語が使われているので)「ジェイコブ」と言ってたけど。あと、このJakobはどうしても「聖なる」人には見えない。★★

『パッション・フィッシュ』"Passion Fish"
パッション・フィッシュは、ルイジアナ州の川でとれる魚の名前。ナマズの腹を割いて出てきたこれを握り潰したり食べたりすると幸運が訪れる、らしい。★★★

『将軍の娘/エリザベス・キャンベル』"The General's Daughter"
たしかに将軍の娘はエリザベス・キャンベルという名前なんだが、なぜこれをタイトルに入れたのか理解に苦しむ。これだと将軍の娘が活躍するアクション映画のタイトルに見えるじゃないか。★

『カスケーダー』"Der Cascadeur: Die Jagd nach dem Bernsteinzimmer"
原題の"Der Cascadeur"は、フランス語でスタントマンの意味の"cascadeur"から来たもので、語源は「落ちる」という意味の"cascader"にある。カタカナにするなら「カスカドール」だろう。ちなみに副題の"Die Jagd nach dem Bernsteinzimmer"は、英語に直訳したら"The hunt for the amber chamber"。ナチスが隠したロシアの秘宝「琥珀の部屋」の行方を追うというストーリー。★

『母の眠り』"One True Thing"
メリル・ストリープ演じる母親が死ぬというネタバレ。まあ映画自体だめなんでどうでもよい。★★

『ランダム・ハーツ』"Random Hearts"
なるほど、『ランダム・ハート』にはしないのね。この映画では少なくとも主人公2人の心がランダムに動くんである。あまりにランダムなんで、ストーリーを追う気がしなくなった。★★★

『迷宮のレンブラント』"Incognito"
"incognito"とは「変名」、「匿名」。主人公がレンブラントの偽作を描く。それの出来があまりによかったためトラブルが生じる。「迷宮」という感じはしない。★★

『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』"Knockin' on Heaven's Door"
ドイツ映画だが、もともとこのタイトル。主人公の若い男性二人の死期が近づいていることを指す(んだろう)。Bob Dylanの同名の曲より。★★★

『人質』"Oxygen"
誘拐された人質が地面に埋められていて、酸素が切れる前に救出できるかというところにサスペンスが生じる。たしかに『酸素』という邦題ではまずいと思うが、この映画では「人質」はあまり大きな役割を果たさないんでミスリーディング。★★

『リトルシティ/恋人たちの選択』"Little City"
まあたしかに恋人たちが何回もの選択を行う映画ではあるのである。ちなみに、この「リトル・シティ」はサンフランシスコのこと。これが小さい町であるはずがないが、映画の中でニューヨークとロサンゼルスと比べるセリフが出てくる。★★

『羊たちの沈没』"Il Silenzio dei prosciutti"
『羊たちの沈黙』(The Silence of the Lambs)のパロディ。英語タイトルはこのイタリア語の直訳で、"The Silence of the Hams"(prosciuttoは「ハム」の意で、その所有格)。どうしようもない映画だが、このタイトルには笑った。この邦題も「してやったり」という感じが素直に伝わってきてよい。★★★★★

『不機嫌な赤いバラ』"Guarding Tess"
シャーリー・マクレーン演じるTessという女性がいつも不機嫌だということから付けられた邦題だろう。ニコラス・ケージ演じるシークレット・サービスのエージェントがTessをガードしていていろいろと衝突する。ちなみに決してTessは赤いバラではない。★

『最高の恋人』"Mr. Wonderful"
映画の中で、新聞広告でブランド・デートを求めた女性(ジェシカ・ハーパー)が「Mr. Wonderfulを求む」みたいな文句を使っていた。Mr. Wonderfulは意外なところにいるもんだよ、ということを言いたいロマンティック・コメディ。『最高の恋人』はいろいろとニュアンスのずれがあるような気がする。『パーペキなカレシ』(語尾上げ)か。もっと保守的でドメスティックな感じか。★★

『恋におちたシェイクスピア』"Shakespeare in Love"
『恋するシェイクスピア』にしなかったところにセンスを発揮したつもりなんだろうが。まあ映画がひどいんでどうでもいい。★★

『インディアナポリスの夏/青春の傷痕』"Going All The Way"
これはひどいなあ。まあ原題もどうってことないけど、完全に投げてる邦題だ。★

『罠にかかったパパとママ』"The Parent Trap"
「双子のロッテ」を、舞台をアメリカに持ってきて映画化したもの。これのリメイクは『ファミリー・ゲーム/双子の天使』"The Parent Trap"。ところで、罠にかかるのはパパだけなんである。というよりも、これはママと双子が力を合わせてパパを罠にかけ、若い愛人から取り戻すという映画なのだ。★★★

『少林寺十八銅人』"銅馬鉄燕傳奇"
18人(だろうたぶん)の小さい子供たちが活躍する。香港映画だから漢字でそれらしいタイトルをつける浅ましい根性だが、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ』みたいなのとどっちがいいかと言われると難しい。★

『愛が微笑む時』"Heart and Souls"
投げやりな邦題。この映画では別に愛は微笑まない。ちなみに、原題でheartが単数、soulが複数になっているが、これは主人公に4人の幽霊(魂)がつきまとっているからである。しゃれたタイトルだが直訳は難しいか。★

『ハード・キャンディー』"Jawbreaker"
jawbreakerとは野球のボールぐらいにでっかく固い丸いキャンディー(というよりもガム)のこと。ハイスクールの女学生がこれを喉につまらせて死んだことから事件が始まる。映画の中でjawbreakerという言葉がでてくると、「ハード・キャンディー」という字幕が付けられていた。しかしあれは実際に日本で「ハード・キャンディー」と呼ばれているんだろうか。★

『マーサ・ミーツ・ボーイズ』"Martha, Meet Frank, Daniel and Laurence"
奇想天外。Marthaというアメリカ人女性が、Frank、Daniel、Laurenceという3人のイギリス人男性と出会うという話を、文の構造を変え、3人の名前を「ボーイズ」でまとめてしまっている。ある意味で「やられた」という感じ。★

『マイティー・ジョー』"Mighty Joe Young"
『猿人ジョー・ヤング』"Mighty Joe Young" (1949)のリメイク。これは猿人ではなく、単なる巨大化したゴリラ。ヤングさんという白人女性と一緒に育ったのでYoungという姓が付けられている。『マイティー・ジョー・ヤング』でいいと思うんだが。★★

『グリム・ブラザーズ/スノー・ホワイト』"Snow White"
英語の別タイトルに"The Grimm Brothers' Snow White"というのがある。ディズニーの『白雪姫』ではなく、グリム兄弟のオリジナルに近い「白雪姫」の映画化であるという主張で、継母役のシガーニー・ウィーバーが主役といってよい映画。『グリム兄弟の白雪姫』ではダメなのか? ちなみにIMDBには、他のタイトルとして"Snow White in the Black Forest"、"Snow White in the Dark Forest"、"Snow White: A Tale of Terror"が挙げられており、製作者たちが困っていた様子が窺える。考えてみると「白雪姫」は名訳だ。★★

『犯罪心理捜査官 最終章』"Redball"
これはひどい。『犯罪心理捜査官』のシリーズとまったく関係のないオーストラリア映画である。"red ball"は、辞書をひくと「急行貨物列車」、「急行便」などの訳語が載っている。貨車につけた赤い印が由来。★

『犯罪心理捜査官2』"When the Bough Breaks II"
『犯罪心理捜査官』"When the Bough Breaks" (1993)の続篇なんで仕方がない。ジョナサン・ケラーマンの小説『大きな枝が折れる時』"When the Bough Breaks"と年代的に近いが、関係はない。『犯罪心理捜査官』は大傑作なのだが、このチープなタイトルのせいで損をしていると思う。そもそもこれは犯罪心理の捜査官なのか、犯罪・心理捜査官なのか。★★

『真実の囁き』"Lone Star"
"Lone Star"はテキサス州のニックネーム。州旗に星が1つあることから来ている。しかしおそらく原題の"star"は、保安官のバッジのことも指している。この「孤独な保安官」が、映画に出てくる3人のどの保安官のことを指すのかがわからないという凝った感じのタイトル。邦題は映画の内容に踏み込んだタイトルだが、はっきり言って鬱陶しい。『ローン・スター』の方がまだマシだ。★

『微笑みをもう一度』"Hope Floats"
「希望というものはフワフワと捕えがたいものである」みたいな意味か。邦題は映画の内容に踏み込んだタイトルで、可もなければ不可もないという感じ。フォレスト・ウィテカー監督の"Waiting to Exhale" (1995)には『ため息つかせて』という見事な邦題が付いたが、それと比べるとちょっとダサい感じがする。★★

『ミッション・トゥ・マーズ』"Mission to Mars"
私は一般に忠実なカタカナ化を支持する者だが、この『ミッション・トゥ・マーズ』はどうも気に食わない。『火星探検』ないし『火星探検隊』以外のなにものでもないのに、カタカナにすることによって何か本質的な変化が生じるかもしれないという浅ましい期待を感じとってしまうからかもしれない。★★

『オースティン・パワーズ・デラックス』"Austin Powers: The Spy Who Shagged Me"
これはまたおそれを知らぬ邦題だ。『オースティン・パワーズ: 私をヤッちゃったスパイ』。★

『アナライズ・ミー』"Analyze This"
これは実のところ、"Analyze This"よりも"Analyze Me"の方が面白いんじゃないかと思ってしまった。原題にないカタカナ言葉を使うのは悪い習慣だが、これは許してもよいかもしれない。★★★★

『ウォーターボーイ』"The Waterboy"
アメリカン・フットボールなどの屋外スポーツで、選手たちが試合中に飲む水を用意しておく人のこと。「飲み水係」。地位が低い。映画の中で、主人公がこれのPC的な言い換えをしていたが(ギャグとして)、具体的な言葉は忘れた。★★★

『ディープエンド・オブ・オーシャン』"The Deep End of the Ocean"
定冠詞の削除の仕方と中黒の付け方が死ぬほど気持ち悪い。原題の「海の深い側」も何のことを言っているのかよくわからない。たぶん何かの比喩なんだろう。★

『第一の嘘』"The Big Brass Ring"
これはもうよくわかりません。★

『ホーンティング』"The Haunting"
1963年のロバート・ワイズ監督の『たたり』(The Haunting)のリメイク。まあいまさら「たたり」もないだろう。東京ディズニーランドに「ホーンテッド・マンション」というアトラクションがあるのも一助となったか。★★★

『裏窓』"Rear Window"
ヒッチコック映画のリメイクなんで仕方がない。簡明にして深い良いタイトルだと改めて思う。問題は、他人の家が覗ける「裏窓」なるものが日本には存在しないということにある。「南向き」の部屋が好まれるという事情があるのがその原因の1つ。日本のほとんどの集合住宅では、「裏窓」からは広い景色が広がっていて、それを「裏窓」とは誰も呼ばないのではなかろうか。★★★

『スネーク』"Silent Predators"
「静かな捕食者」の正体がヘビなんである。信じがたいほどバカげた邦題だが、映画のつまらなさを考えると、担当者の投げやりな態度もよく理解できる。★

『プリティ・ブライド』"The Runaway Bride"
ゲイリー・マーシャル、ジュリア・ロバーツ、リチャード・ギアの『プリティ・ウーマン』(1990)の組み合わせなんでこういう邦題になった。原題は、ヒロインのジュリア・ロバーツが、結婚式の場でぎりぎりになって逃げ出すことを何度も繰り返しているところから来ている。まあだめな映画なんでどうでもよい。★

『トーマス・クラウン・アフェアー』"The Thomas Clown Affair"
同タイトルの『華麗なる賭け』のリメイクだが、きくところによると、配給会社はこれがリメイクであるということを隠したがっていたという。Thomas Clownは主人公の富豪の名前。"affair"は「事件」で「トーマス・クラウン事件」という意味だが、ヒロインとの"love affair"の意味も入っているんだろうか。★★★

『ファミリー・ゲーム/双子の天使』"The Parent Trap"
1961年の『罠にかかったパパとママ』(The Parent Trap)のリメイク。リメイクのあり方のせいで、邦題が変わるのも仕方がないという事情がある。詳しくは両項目を参照のこと。★★

『カイル・マクラクラン/ルート9』"Route 9"
主役の名前を主タイトルとするのは、その映画がつまらないものということを公言しているようなものだ。この映画もその例外ではないが、カイル・マクラクランのファンが見て満足できるかという点でも疑わしい。原題は「9号線」という意味。道路の名前である。★

『精神鑑定』"Murder in Mind"
映画では「精神鑑定」というよりも「精神科医による治療」が行われる。主人公の女性が持っている夫を殺した記憶は、果たして本物の記憶なのかというサスペンス。映画は非常につまらない。★

『NY検事局』"Night Falls on Manhattan"
ニューヨーク州の地方検事(district attorney)の下にある機関(D.A.'s Office)の話。原題を直訳すると「マンハッタンの夜はふけて」となるが、日本語の「夜がふける」は牧歌的な印象が強いか。★★

『奇蹟の輝き』"What Dreams May Come"
これはもう開き直って、こういう意味のない邦題をつけるしかないだろう。CG処理されたきれいな映像がウリの1つなので、まあそんなに的外れなタイトルでもない。★★

『リプレイスメント・キラー』"The Replacement Killers"
この邦題を見たとき、私は主演のチョウ・ユンファが交替役として暗殺者に指名されるのかと思ったがそうではなかった。チョウ・ユンファが放棄した仕事を肩代わりするために雇われた複数の暗殺者たちが、チョウ・ユンファを襲うのである。★★

『アンダーグラウンド』"Underground"
ユーゴスラヴィアを舞台にしたエミール・クストリッツァの映画だが、原題がもともと"Underground"なんで問題はない。本当に「地下」で生活する人々の話。★★★

『オープン・ユア・アイズ』"Abre los ojos"
『ビヨンド・サイレンス』と同じく、その国の言葉を英語化したものをカタカナ化してタイトルとするかなり無礼な方法。スペイン映画。★

『さすらいの一匹狼』"PER IL GUSTO DI UCCIDERE"
1966年のマカロニ・ウエスタン。この時期のこの手の映画の邦題から、それがどんな映画だったか、ひいては原題が何だったかを思い出すのは至難の業である。いまでもこの教訓は学ばれていない。★

『Mr.ダマー2 1/2』"Trial and Error"
『ジム・キャリーはMr.ダマー』"Dumb and Dumber"の続篇かと思いきや、ジェフ・ダニエルズが出ているというところだけが共通するまったく別の映画。こちらは普通のシットコムである。原題の"Trial and Error"は「試行錯誤」だが、ジェフ・ダニエルズが弁護士で、映画が裁判(trial)を通して進行するというところにかけられている。★

『アメリカン・ビューティー』"American Beauty"
原題そのものに皮肉な重層構造が持たされている。バラの品種の名前の裏を打って「アメリカ美人」の意味かと思いきや、「アメリカの美」とは何かという根源的な問いがつきつけられるというわけだ。私はこのコンセプト自体が気に入らなかった。邦題はこれで仕方がないだろう。★★★

『KILLER/第一級殺人』"Killer: A Journal of Murder"
邦題の「KILLER」の部分はなんとか許すにしても、「第一級殺人」の部分が解せない。"murder in the first degree"の訳語ではあるが、これはごく普通の一般用語で、この映画のテーマである破格な殺人者の像とあまり結びつかない。原題の"A Journal of Murder"は、殺人犯が自らの犯歴を記した回顧録を看守に読んでもらったことから来ている。その看守が回顧録をベースにして書いた本が原作。★★

『パラサイト』"The Faculty"
高校を舞台にした『ボディー・スナッチャー』タイプの話。"faculty"は、侵略者が教師集団を最初に襲った後に、生徒たちに手を伸ばすところから来ている。子供たちから見た教師集団の権威を象徴している、などと言えばかっこよいが、30年ぐらい前の日本製のマンガの発想ではあるか。『パラサイト』は、原題にない英語を使うダメなタイプの邦題だが、『先公』みたいな邦題をつけるわけにもいかないので仕方ないところか。★★

『サイコ』"Psycho"
ヒッチコック映画のリメイクだから、これ以外に選択肢はない。ヒッチコック映画のタイトルが『サイコ』になったことは、その後の"psycho-"絡みの言葉のカタカナ言葉に大きな影響を与えたのではなかろうか。これが『狂人』みたいなタイトルで公開されていたら、「サイコスリラー」のような言葉が日本語にこれほど定着したかどうか疑わしい。★★★

『ロミーとミッシェルの場合』"Romy and Michele's High School Reunion"
ビデオ化でのタイトルは『ロミー&ミッシェル』。『ロミーとミッシェルのハイスクール同窓会』あたりのタイトルでも良かったのではないかと思う。20代後半から30代にかけての人々が高校の同窓会に顔を出すときの「きまりの悪さ」をテーマとしている映画で、わざわざ"High School Reunion"というのを付けているのはこの「きまりの悪さ」を強調する自虐ギャグ的な感じがある。★★

『失踪』"The Vanishing"
「失踪」という日本語は失踪者が意図的に姿をくらましたという印象が強いように思う。原題は中立的で、映画中の設定は誘拐殺人である。オリジナルの1988年のオランダ映画のタイトルは"Spoorloos"で、これは「手がかりなし」、「あとかたもなく」という意味(だと思われる。spoorはいわゆるスキーの「シュプール」のドイツ語に相当する語、英語だとtrack、-loosは英語の-lessに相当する。辞書も引かずに書いているんで信用しないように)。この映画の英語タイトルも"The Vanishing"となっている。ちなみに"Vanishing Point"『バニシング・ポイント』という映画があったが、これは透視画法でのいわゆる「消尽点」のこと。映画のタイトルに関する限り、「バニシング」という日本語はかなり定着しているようだ。★★

『マッド・シティ』"Mad City"
これは全然問題ないのだけれども、最初に邦題を聞いたとき、なぜか「泥の町」と理解してしまった。考えてみれば、"Mad City"という原題はそのまんまという感じで、あまり洗練されていない。★★★

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