クォーターリー・レビュー: 2000年度第4四半期

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概要

2000年度第4四半期の読書メモへの登録件数は80件で、1か月に平均26.7件。映画メモへの登録件数は112件で、1か月に平均37.3件。今四半期は映画の本数が大幅に増加した。

サイトの開始時からの累積件数は、読書メモでは868件、1か月に26.3件。映画メモでは391件。1か月に27.9件。

読書メモの80件のうち、フィクションが14件でノンフィクションが66件。依然としてノンフィクションに偏っている。評価は、5点が20件、4点が18件、3点が19件、2点が16件、1点が7件。分布は依然として高いが、前四半期よりは下がった。

映画メモの112件のうち、5点が10件、4点が25件、3点が21件、2点が37件、1点が19件。母集団が大きくなったせいで、平均は下がった。

mp3.com鑑賞メモは、1999年の11月を最後に更新していない。

読書メモ

フィクション

14冊のフィクションのうち、5点を付けたのは、エリック・L・ハリーの『米本土決戦』、オースン・スコット・カードの『エンダーズ・シャドウ』、コリン・デクスターの『悔恨の日』。いずれも手放しで賞讃できるものではなく、著者らのこれまでの作品に敬意を表しての高めの評価であることが残念。

『異物混入』で久しぶりにリドリー・ピアスンを読んで、この人の最近の作品をもっと読みたくなった。

ノンフィクション

66冊のノンフィクションのうち、5点を付けたのは17件。

『ダイバー漂流』は、1980年代に起こったダイバーの単独漂流事件を描くノンフィクション。アウトドア・レジャーの遭難事故ノンフィクションの手本になりそうな、きれいにまとまった本である。

『リサイクル幻想』は、リサイクル賛美に対する批判。著者のこれまでの著書の集大成で、主張がよく整理されているだけでなく、新しい視点も打ち出している。

『台湾革命』は、民主化へといたる台湾の激動の時代を描くルポルタージュ。地味な本ではあるが、実際に現地で生活していた人の視点が堅牢であり、ライティングの能力も高い。

『東欧の解体 中欧の再生』は、やはり民主化へといたる中欧の激動の時代を描くフィールドワーク。一般の日本人が関心を持っていなさそうなトピックに魅力を持たせる手腕に注目。

『科学者として』は、予研(感染研)職員による内部告発もの。職員としての地位を保ちながら運動を続けている例として興味深い。私企業の従業員による内部告発ものは、たいていが退職後に書かれる。

『テレビ報道の正しい見方』は、テレビの報道番組のバイアスを批判する本。しっかりとしたリサーチに裏づけられた本で、取り上げているトピックの幅も広く、予想外の拾い物だった。

『教育改革国民会議で何が論じられたか』は、教育改革国民会議の第一分科会のメンバーとなった著者による、日記風の記録。今後数年間に、教育問題に対する国民の姿勢が大きく変化するだろうと私は考えているが、その際に本書は貴重な資料になると思う。

『経済成長がなければ私たちは豊かになれないのだろうか』は、戦後左翼の理念を現代に蘇らせようとする試み。現代のアグレッシブな書生論の1つの形として。

『「日本」とは何か』は、講談社の「日本の歴史」シリーズの第0巻。著者のこれまでの主張の集大成とでもいうべき、非常にリキの入った本で、あらゆる人に勧められる好著。

『遺言』は、桶川ストーカー事件でスクープを連発した『フライデー』の記者によるノンフィクション。今四半期の最大の収穫である。よくできたミステリ小説のような話。

『一つの中国 一つの台湾』は、中国と台湾の関係を、江沢民と李登輝という2人のリーダーのパーソナル・ヒストリーという観点から記述する試み。中国文化人の強靭な知性を感じさせる面白い本。

『新聞があぶない』は、朝日新聞社出身の著者による内部告発もの。新聞関係者にしては驚くほどまっとうな本だった。

『目からウロコの日本経済論』は、日銀官僚による日本経済論の入門書。日銀の金融政策に対する批判をかわすためのテクニカルな議論が多いが、それはそれなりに面白い。

『百貨店が復活する日』は、21世紀に向けて百貨店の復活を予言する本。証券アナリストによる、きわめて戦略的な意図を持つ著作である。

『中世哲学への招待』は、中世哲学を切り口にヨーロッパ精神なるものを日本人向けに解説する本。文字通り受け取っていいのかわからない部分もあるが、非常に刺激的な試みである。

映画メモ

112件のうち、5点を付けたのは10本。

『ディープ・ブルー』は、レニー・ハーリンのサメもの。ハーリンらしく豪快な作りのエンタテインメントだ。

『13F』は、仮想現実SFもの。美しい映像と安定したストーリー運びが見事に調和している傑作で、20年後ぐらいにはカルト・ムービーになっている可能性あり。

『エイミー』は、オーストラリアのひねくれたミュージカル。主人公の少女エイミーを演じるアラーナ・デ・ローマの歌だけでも聴く価値はある。

『暗殺の瞬間』は、スウェーデンのテロリスト/警察映画。マルティン・ベック・シリーズなどのしっかりと培われた伝統の上に作られている堂々とした作品。

『悪魔を憐れむ歌』は、『真実の行方』のグレゴリー・ホブリットによるオカルト/ホラー映画。こけおどしの映像を使わずに怖さを醸成する職人技。

『ヒーロー/靴をなくした天使』は、キャプラ風の人情喜劇の現代的アダプテーション。とにかく巧みに作られている。

『クッキー・フォーチュン』は、ロバート・アルトマンによる、珍しくハートウォーミングな人情喜劇。

『蜘蛛女』は、完璧といってよいダメ男ハードボイルド映画。

『ストレイト・ストーリー』は、デヴィッド・リンチによる、ずるいと言えばあまりにずるすぎる感動作。

『真夜中のサバナ』は、クリント・イーストウッドが自ら出演しなかったせいで、完璧な映画になっている。

今後の見通し

書籍のフィクションの分野は、前四半期からの勢いに乗りそこねた。

ノンフィクションの分野では、依然として良好な読書体験が得られている。(1) グローバリゼーションとアメリカの行方、(2) 外国人が日本語で書いた本、(3) 科学技術の進歩による人間の変容、あたりの大きなテーマを今後も追っていく予定だ。

映画は、見落としていた旧作を拾いつつある段階。

webコンテンツに関しては、前四半期に続いて、検索関連のCGIスクリプトに手を入れている。サイト全体を対象にした(全文検索ではない)キーワード検索を可能にすることで、面白い効果が出てくるかもしれない。ただし、これを本サイトで運用するのはもうちょっと先のことになるだろう。

全文検索は、ローカルなステージング・サーバーではNamazuを使って実現しているが、現在のホストで効率的に運用するのは難しそうだ。ホストの移転も含めた長期的な課題。

中期的計画(1年ていどのスパン)

長期的計画(数年ていどのスパン)

2001/1/3

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