クォーターリー・レビュー: 2001年度第1四半期

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概要

2001年度第1四半期の読書メモへの登録件数は61件で、1か月に平均20.3件。映画メモへの登録件数は56件で、1か月に平均18.7件。どちらも激減した。特に映画メモは2月末から3月末にかけてまったく更新できなかった。これは、決算期という季節要因に、部屋の大掃除という特殊要因が加わったせいである。

サイトの開始時からの累積件数は、読書メモ(98年3月に開始)では929件、1か月に25.8件。映画メモ(99年10月に開始)では447件。1か月に26.2件。

読書メモの61件のうち、フィクションが19件でノンフィクションが42件。依然としてノンフィクションに偏っているが、フィクションの比重がかなり高まった。評価は、5点が10件、4点が13件、3点が19件、2点が16件、1点が3件。分布は低い方である。

映画メモの56件のうち、5点が3件、4点が11件、3点が11件、2点が15件、1点が16件。

mp3.com鑑賞メモは、1999年の11月を最後に更新していない。なお、MP3.COMはAffliateの制度を廃止した。今後、このジャンルがどう動くのか興味深いところである。

読書メモ

全般

今期は61件のうちの12件が英語の本だった。このところ、とりわけフィクションの分野で翻訳の問題を感じることが多く、原文で読みたいという欲求が強まったという経緯がある。翻訳出版されない本にはそれなりの事情があるというのもまた真実である、ということを改めて思った。しかし、1980年代に高い評価を受けていて、1990年代に入って盛り返しているのにもかかわらず、翻訳出版のバックログがたまっている作家が何人かいることも事実。これについては『蒸発請負人』の項を参照。

フィクション

19冊のフィクションのうち、5点を付けたのは、ブライアン・フリーマントルの『英雄』、トマス・H・クックの『夜の記憶』、マイクル・コナリーの『Void Moon』、スティーヴン・ハンターの『悪徳の都』の4冊である。フリーマントルは超安定、クックはフロック、コナリーは新機軸で否定的評価も出てきそう、ハンターは上り調子。

トマス・ペリーの『蒸発請負人』は久しぶりの翻訳出版。翻訳の質が低すぎてお勧めできないのが残念。

ノンフィクション

42冊のノンフィクションのうち、5点を付けたのはたったの6件。これはかなり哀しい。

『I Hated, Hated, Hated This Movie』はスタンダードな映画評論家の、ダメな映画のレビューだけを集めた評論集。ユーモアが上質で面白いが、映画を見るためのガイドとしてはまったく役に立たない。バカな映画を間違えて見てしまったときに、ウサを晴らす一助となる、ぐらいの使い方しか思い浮かばない。

『Mike Nelson's Movie Megacheese』は、若手の元気のいい映画評論家の、品の悪いダメな映画のレビュー。ほんの少しだけ肯定的な論調のものも混じっている。ナンシー関ほどではないが、そこそこのインテリジェンスがある。やはり役に立たない。

『イスラーム的』は、イスラームとムスリムの現状、とりわけ1990年代以降の世界情勢を踏まえた上でのあり方を解説する優れた啓蒙書。「文明の衝突」のトピックを考える上で実に参考になるいい本である。西欧的な価値観を理解した上での「根本主義」というか「伝統主義」のあり方には、日本の「自由主義史観」の流行と重なる部分がある。

『オペラハウスは狂気の館』は、19世紀のオペラに関する本格的な歴史社会学。このジャンルについての興味がなければまったく無意味だけれども、オペラに限らず、ビジネスとしての広い意味でのエンタテインメント産業に関心を持っている人も面白く読めるだろう。著作権の概念の発達みたいな面白いトピックもカバーしている。

『21世紀のエコノミスト』は、基本的なマクロ/ミクロ経済学の教科書を読んだ後に、それ以外のソースから知ったさまざまな経済学のトピックを整理するのに便利な本。このレベルの入門書をもっと多くの分野で読みたいと痛切に思う。

『心の病気はなぜ起こるか』は、鬱病とプロザックというテーマを中心に、心の状態に影響を与える薬物一般の仕組みと歴史的経緯を広く解説している、実に有益な啓蒙書。精神分析の凋落についてもわかりやすく説明している。

映画メモ

56件のうち、5点を付けたのはたったの3本。しかもそのうち2本が旧作であり、実質的に「収穫がなかった」と表現するべきか。

『ダンス・ウィズ・ミー』は、ランダ・ヘインズのダンスもの。ダンス映画/ミュージカル映画として実によくできている秀作。ドラマの部分が少し弱いが、ミュージカル映画なんだから仕方がない。

『大列車作戦』は、フランケンハイマーの1964年の作品。評価の確立した「名作」であり、こうやって取り上げるのも何か妙。

『江分利満氏の優雅な生活』は、岡本喜八の1963年の作品。こちらは、私の見るところ、相対的にあまり高い評価が与えられていないように思う。岡本喜八といえばやはり『独立愚連隊』が有名で、せいぜい『暗黒街の顔役』や『殺人狂時代』などがマニアックな文脈で言及されるように思うが、個人的には本作とその翌年の『ああ爆弾』の2本こそが、岡本喜八の最高傑作だと思う。

その他、今四半期の大きなトピックは、TVシリーズの『アリーmyラブ』のシーズン1と2を一気に見たことである。私はTVシリーズは苦手なのだが、シーズン1の初期のものは十分に楽しんで見ることができた。しかしそれ以上に、アリーを演じているカリスタ・フロックハートがこの直前に主演した『ジェーンに夢中!』を見て複雑な感慨を抱いた。これはどうってことのない、どちらかと言えば出来の良くないインディー映画なのだが、愛すべき小品といえる。読書メモの方では、これに関連した本を3冊取り上げた。『Ally McBeal: the official guide』『That Lawyer Girl』『David E. Kelley』である。1冊目と3冊目は便乗本だが、2冊目はインディペンデントな立場からの論評で、質は高くないものの、このTVシリーズに関してどのようなことが言われているかを知るのに役立つ。

今後の見通し

書籍のフィクションの分野は、日本人作家と、日本に紹介されていないアメリカのエンタテインメント作家という2つのテーマを、もう少し追求してみたいと思っている。

ノンフィクションの分野は、(1) グローバリゼーションとアメリカの行方、(2) 外国人が日本語で書いた本、(3) 科学技術の進歩による人間の変容、あたりの大きなテーマを今後も追っていく予定。映画評論に少し手を出し、それなりに良かったんだけど、次に手を出すべきものが見当たらない。

映画は、まあこの調子でやって行こう。旧作を見直すという企画もやってみてもいいかなと思っているのだが、どうなるかはわからない。

検索機能関連の試行錯誤は中断している。時間的に余裕ができるまで先延ばし。

全文検索は、ローカルなステージング・サーバーではNamazuを使って実現しているが、現在のホストで効率的に運用するのは難しそうだ。ホストの移転も含めた長期的な課題。

中期的計画(1年ていどのスパン)

長期的計画(数年ていどのスパン)

2001/4/8

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