クォーターリー・レビュー: 2001年度第2四半期

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概要

2001年度第2四半期の読書メモへの登録件数は91件で、1か月に平均30.3件。映画メモへの登録件数は87件で、1か月に平均29件。どちらも急増した。

サイトの開始時からの累積件数は、読書メモ(98年3月に開始)では1020件、1か月に26.2件。映画メモ(99年10月に開始)では534件。1か月に26.7件。当期には読書メモが1000件、映画メモが500件を超えた。

読書メモの91件のうち、フィクションが16件でノンフィクションが75件。ノンフィクションへの偏りが進行した。評価は、5点が26件、4点が18件、3点が32件、2点が12件、1点が3件。分布は高い方である。

映画メモの87件のうち、5点が8件、4点が14件、3点が23件、2点が20件、1点が22件。

mp3.com鑑賞メモは、1999年の11月を最後に更新していない。

その他のコンテンツとしては、「邦題考5」を追加した。

読書メモ

全般

今期は91件のうち英語の本が6件。数は少ないが、いずれも手応えのあるものだった。

フィクション

16冊のフィクションのうち、5点を付けたのは、トマス・ペリーの『Dance for the Dead』『Shadow Woman』『The Face-Changers』のジェーン・ホワイトフィールド・シリーズの3冊、R・D・ウィングフィールドの『夜のフロスト』、リチャード・ノース・パタースンの新作『Protect and Defend』の合計5点である。トマス・ペリーについては、ファンとしての身びいきもあるかもしれない。なお、当シリーズの5作目『Blood Money』は期待はずれだった。ウィングフィールドのフロスト・シリーズ3作目は、叙述上のトリックを前面に押し出さず、混沌とした描写の中に埋め込んだ円熟した小説になっていた。パタースンの新作は、彼にとって新しいジャンルである政治小説への果敢なチャレンジ。ちょっと説教臭いかもしれない。

ノンフィクション

75冊のノンフィクションのうち、5点を付けたのは21件。前期が6件だったことを考えると急回復である。

『日本航空事故処理担当』は、『墜落の背景』の著者が出した新書。前作の内容を薄めて新書版にしたという印象があることは否めないが、新しい事件への言及もある。

『パラサイト・レックス』は、パラサイト/ホストの共進化、さらにはパラサイトによるホストのマニピュレーションまでを視野に入れた面白い寄生虫本。

『環境生態学序説』は、数理生態学と現実の環境管理行政がどのように結び付いているかを教えてくれる名著。数式が多いけれども、テキストを読むだけでも十分に参考になるだろう。

『ワシントン政治を見る眼』は、ワシントン在住の政治コンサルタントが、ワシントン政治の仕組みについてわかりやすく解説している面白い啓蒙書。アメリカの政治絡みのフィクションや映画が好きな人のための参考書としてもお勧めできる。

『幸運なる二世』は、米大統領ジョージ・W・ブッシュの伝記。批判的な視点から書かれており、発売直後に版元が回収を行ったといういわく付きの問題の書だが、内容はかなり穏当である。

『在日韓国人の終焉』は、このところホットなトピックである外国人参政権の問題と絡めて、在日コリアンに対する戦後リベラルの視点を批判する論争的な本。

『ダーウィン・ウォーズ』は、ネオ・ダーウィニズム/行動生態学/社会生物学の分野での論争を面白おかしく紹介する業界ネタ本。この手の論争についての関心と知識がない人にはきついかもしれない。

『敗北を抱きしめて』は、戦後の占領期における日本人の元気の良さを描く力作。下巻も出版された。

『ザ・ジグソーマン』は、英国のプロファイラが書いた本。有名な事件を数多く手がけているので、資料として有用だが、文章の質が高いことも魅力の1つである。

『栃木リンチ殺人事件』は、元警察官による本格的な事件ジャーナリズム。事件そのものが興味深いが、注目に値するジャーナリストをまた一人発見したという喜びも大きかった。

『くじら紛争の真実』は、捕鯨問題についての水産庁のオフィシャルな立場(と思われるもの)を網羅的にまとめた好著。

『哲学人』は、哲学に真面目に取り組む現代人による随筆/自伝/哲学史。楽しい読み物である。

『潜入』は、近ごろ話題の中国人による「外国人犯罪」についてのルポルタージュ。

『がん専門医よ、真実を語れ』は、がん検診の有効性をはじめとして、がんにまつわる論争を仕掛けている著者による中間レポート。

『「少女監禁」と「バスジャック」』は、精神保健福祉を専門とするジャーナリストが有名な事件の報道を検証している本。

『American Terrorist』は、オクラホマ連邦政府ビル爆破事件の犯人であるティモシー・J・マクヴェイについての決定的な伝記。

『デモクラシーの論じ方』は、オリジナルな内容がまったくないといっていいのに、語り方のみでエキサイティングな本に仕立て上げている野心的な試みである。

『警察はなぜ堕落したのか』は、『栃木リンチ殺人事件』の著者の習作と位置づけるべきか。

『教育言説の歴史社会学』は、『日本人のしつけは衰退したか』の著者による論考。話題が広がっているだけでなく、資料も充実している。

『出版大崩壊』は、このところの出版業界の苦境を論じる本の中では、最も優れているものの1つ。

『少年の「罪と罰」論』は、少年犯罪と少年法について、地に足のついた立場から論じる貴重な本。

映画メモ

87件のうち、5点を付けたのは8本。ただし、そのうちの3件はDVDを新たに買っての再見。

『インサイダー』は、1970年代風の硬派社会告発映画。マイケル・マンのかっこいいスタイルと、アル・パチーノとラッセル・クロウの暑苦しい演技が見事に噛み合った。

『ラスト・デイズ・オブ・ディスコ』は、このところ多く作られている1980年代回顧映画だが、視点を微妙にずらしているところが面白い。

『ブラッダ』は、低予算昆虫パニック映画。このタイプの映画の中では完璧に近い出来。

『アメリカン・プレジデント』は、ロブ・ライナーの傑作ロマンティック・コメディ。

『ウィットネス・プロテクション 証人保護』は、ていねいに作られた家族内心理劇。

『彼女は最高』は、エドワード・バーンズの監督第2作。ひねったコメディ。

『犯罪心理捜査官』は、マイケル・コーン監督の傑作サスペンス映画。

『デーヴ』は、アイヴァン・ライトマンにしては珍しい傑作コメディ。

今後の見通し

書籍のフィクションの分野で、日本人作家と、日本に紹介されていないアメリカのエンタテインメント作家という2つのテーマを、もう少し追求してみたいと思っているのだが、当期はまったく手を出せなかった。

ノンフィクションの分野は、(1) グローバリゼーションとアメリカの行方、(2) 外国人が日本語で書いた本、(3) 科学技術の進歩による人間の変容、あたりの大きなテーマを今後も追っていく予定。映画評論には手を出せなかった。

映画は、まあこの調子でやって行こう。旧作を見直すという企画もやってみてもいいかなと思っているのだが、どうなるかはわからない。

検索機能関連の試行錯誤は中断している。時間的に余裕ができるまで先延ばし。

全文検索は、ローカルなステージング・サーバーではNamazuを使って実現しているが、現在のホストで効率的に運用するのは難しそうだ。ホストの移転も含めた長期的な課題。

中期的計画(1年ていどのスパン)

長期的計画(数年ていどのスパン)

2001/7/9

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